2018年6月19日

ブロッコリ収穫開始しました!

最近のブロッコリ畑
いえーい!4月半ばに定植したブロッコリーの収穫が始まりましたー。5日前は3個。昨日は60個。そして今朝は240個近いブロッコリーを収穫し、JAに出荷させていただきました。


2年間の研修中にブロッコリーの出荷は毎日体験してましたが、頭の中で「これが自分の作った野菜だったらなぁ」と思ってました。そしてついにその瞬間が来たわけですよ!そりゃテンション上がりますわ。ちなみにこの日のお値段は1コンテナ(20個)で2600円でした。悪くない。

野菜収穫用の包丁
収穫用の包丁も買わせてもらいました。本当は2年間の研修中にブロッコリ収穫の際に使っていた刃が曲がっているのが良かったのだけど無かったのでこれで断念。それでも2800円、お高いなぁ。


1作やってみてとても勉強になりました。写真のかさぶたのような痕は「ホウ素欠乏症」とのこと。どうして欠乏したのかを考えて、次回では出なくなるように改善策を考えるのが楽しいです。

明日から収穫量が増えそうなので午前4時起きして本気の収穫モードのスタートです。それまでに鶏とヤギの世話を終わらせておかなきゃ。一人でこつこつ作業してますのでお暇な方は顔を見に来てくださいね。いやー、農家は楽しいです!

2018年6月11日

カベルネフラン、定植完了!

ゆきちゃん、昨日はお弁当を届けてくれてありがとう。元気でたよ。メルローに続いて、合計4日かかった1反ばかしのカベルネフランの畑の定植作業が終わったよ。狭い山道の畑だけどああやって少しずつ駐車場も整備してるので気軽に遊びに来てね。

和田中学校裏のカベルネフランの圃場。粘土質。カヤと石だらけ

 今回も石とカヤが強烈でクワが何回も曲がっちまった。カヤにはクワも入っていかないね。これでもバックホーで2回、根っこを取ったんだけどな。石が多いと草刈時の管理も大変だよなぁ。だから草をあまり刈らない方法を考えたいね。

カヤの中に植えられたカベルネフランの苗。
場所によってはカヤの根の真ん中に定植するしかなくて、根性でクワで穴を開けたところに植えたけど果たして根付くのか、カヤは2mにもなるから守ってやりながら観察していきたいと思う。

ここで私の認識するカベルネフランについて。間違ってたらスマン。
フランス、ボルドー地方では「右岸」ではメルロー、「左岸」ではカベルネ・ソーヴィニヨンが育てられてて、ボルドーのあのなで肩ボトルにつめられてるワインはカベルネ・ソーヴィニヨンとメルローのブレンドになる。そこに数%入るのがこのカベルネフラン。

カベルネフランが日本でも作付けを始めた栽培者も多い。去年1年間管理してみた感じ、強い樹勢で病気にかなり強い、栽培が容易なので日本の風土に合ってると思う。ただ大切なのはこれがどの程度の品質のワインになるかだけど。まぁやってみるしかない。


ブレンドも楽しみだね。自分たちで最高においしい比率を見つけようね。海外のシャトーでは年によって比率も変えてるしね。

さて、残ってる苗を植えるぞー!ガルバンゾ(豆)!ル・ブリゾー(パタポン)!

休憩中に練習してる消防団のラッパ。音が出ると気持ちイイよ!

2018年5月2日

ワイン農家の妻への手紙 ~うちのワインの方向性~

由紀ちゃん、ブドウ栽培を私の自由にやらせてくれてありがとう。といつも思ってます。今日は私が考えてるワインの個性の必要性について書くね。え、どうしてそんなことを聞く必要があるのかって?

だってほら、自然派ワインのパタポンを造ってるドメーヌ・ル・ブリソーのように、亡くなってしまった旦那(クリスチャン・ショサール)の亡き後に、夫人のナタリーが後を継いで良いワインを造ってる、なんてパターンもあるわけだから。それにワインが出来たら販売担当としてお客さんに説明しなきゃなんてこともあると思うしね。だから伝えておかなきゃということで。
現在定植中のシャルドネの畑。土が出来てないので草の種類が少ない。

これから造るワインには強烈な個性が必要だと思う 


まず、日本ワインの生産量が年々増えてることは知ってると思う。この言ってしまえば「ワイン造りブーム」の中でこれから100年生き残るには選んでもらえるとびきりの理由が必要だよね。だって私が知ってるワイン造りを目指している方々は大抵の人は魅力的で一生懸命な人ばかり。だから同じ土壌で同じ栽培方法で他の方と私がブドウ栽培をした場合、私のほうが良いものを作れる自信は全くないもの(笑)。

じゃあ3本?50本?100本?の日本ワインが並ぶ中から、どんなワインが選ばれるのだろうと考える。自分だったらどうだろう?って。

ワインを選ぶ基準はたくさんあるのできりがないけど適当にあげて見ると・・・
1.味、香りが抜群に良い
2.可愛いラベル、思い切った価格設定
3.栽培方法が特殊な飲んでみたいワインを造る
4.醸造方法が特殊な飲んでみたいワインを造る

 1.味、香りが抜群に良い
もちろんこれが上位になれたら言うことなし。メディアでも扱ってもらえるだろうし、ワイン通はもちろん、一般の方も口コミを大切にするからね。尊敬する山梨のボー・ペイサージュさんレベルの味わいが出せたら。でもあそこは醸造方法が特殊だからね、でもどうせ造るならあそこまで到達したい。じゃないと100年は続かない。

2.可愛いラベル、思い切った価格設定
もちろん可愛いラベル(エチケットともいう)やワインのネーミング、価格設定は大切なポイントだと思う。最初に手にとってもらえるきっかけになるからね。でも一度飲んでもらって満足がいかなきゃ来年はもう買ってもらえない。自分もそうだものね、お客さんだって同じはずだ。だからここで勝負はできない。

3.栽培方法が特殊で飲んでみたくなるワインを造る
ここ、これ!これ一番私が力を入れたいポイント。誰もがやってない栽培方法で育てていればワイン通としては飲みたくなる。そんなワインはワイン会での話も弾むんだ。そういうパフォーマンス的な要素も大切。例の超密植栽培はそのためにやってみる。私自身、どんな味わいになるか興味があるしね。

私が実践してみるチャレンジはいくつもあって、それらの1つ、もしかすれば全てが味わいに「違い」をもたらすと信じてる。ブドウ1房じゃ分からないほど微量な違いでもそれが1Lに、1000Lになれば違いが出てくるんじゃないかなって。それが独自の味わいや香りにも繋がるわけね。「違いなくして違いなし」これは正しいよね。

由紀ちゃんはたまに「最初は普通にやればいいじゃない」と言うけど、普通にやって普通なものが収穫できればそれでもいいかもしれないけど(嫌だけど)、地球温暖化や集中した長雨で病気が多発しちゃってなかなか普通にやっても普通に出来ない時代に入ってると感じてる。予想ではこれからもっと過酷になる。農薬もバンバン使う人はもっと使うようになると思う。普通にやればそうやらざるを得ないんだ。普通だけじゃ難しいってこと。違いが出るように突き詰めていこうと思う。


4.醸造方法が特殊で飲んでみたくなるワインを造る
ここまで話しておいてなんだけど、、勉強してきた結果、もしかすると栽培方法よりもワインの味わいに大きく関係してくるのは醸造かもしれないというのが今の結論なんだ。理由としては一般的な栽培方法で作られた棚栽培のナイアガラを買い取って造ったワインがおいしかったりするから。 もちろん完熟で健全なブドウは前提だけどそれを醸造は生かすことも殺すことも出来ちゃうってこと。

ではワイナリーをすぐに建てるの? 

とはいえ、醸造でのいろいろなチャレンジは自分のワイナリーじゃないと出来ない。まずは3を実践して委託醸造でワインを造ってもらって、どんなポテンシャルのワインが出来るかだね。そこであまりにもがっかり&ションボリしちゃうような感じだったらワイナリーは難しいだろう。そんな状態で借金負っても返せないだろうし息子に負債を負わせたくない。私の代で終わらすよ。

でももし将来の可能性を感じられるような味わいがあってそれを誰かに評価してもらえたりしたら、そのときは一歩前進してみようと思う。今はそうなるべくしてそうしようとしてるところ。

幸いなことに自給自足生活をしてると例えばヤギと鶏が居る。例えばガスなし生活をしてると毎日薪ストーブの灰が出る。うちでは無農薬の野菜を栽培してるし、由紀ちゃんはアロマとハーブの先生だ。もうすでに個性の塊なんだ。そこから作り出されるワインが個性派にならないわけがないんだ。

オリジナリティあふれる手法でこだわりのワイン作りを続けていけばきっと選んでもらえるものが出来るし、それが出来る環境がもう私たちにはある、ってのが今の結論。あとはもうマイペースに自分の道をゆっくり進んでいけばいいんだよね。

大成功するにせよ、大失敗するにせよ、楽しもうね。
                            2018.05.02 阿部たけし

去年自作したシャルドネの苗。これ(自作苗)も味わいに個性を出してくれるよね、きっと♪


2018年4月27日

ブロッコリー栽培も楽しんでます!

ブロッコリーの畑(in長和町)
すっかり長野県民の阿部たけしです。たまに、例えば暑い日の交通整理で道に立っている人や、ユーチューバーの人などを見ると(大変そうだなぁ私には無理だなぁ)と思うわけですが、そんなことを奥さんに話すと「きっと農業もそう思われてるYO!」と大抵こんな感じで返ってきます。確かに。農業は暑いし寒いし、うまくやらなきゃ儲からないどころか気候次第では赤字のリスクもある。普通の人はやりたがらないだろうなぁと妙に納得してしまいます。
定植されて10日が経過したブロッコリーの畑
 さて。昨日ブロッコリーの2回目の定植が終わりました。おいしいワインを造って生きていく予定なので「私はブドウで生活できるまでの間の収入源としてブロッコリーの栽培もやります。」と自己紹介するようにしてますが、実はブドウと同じくらいブロッコリー栽培も好きな作業だったりします。

研修先だった信州うえだファームにもブロを作る仲間が居ますし、地域のJA(よだくぼ南部支所)の若い指導員の方もやる気があって良い人です。それにしても地域ごとに技術員が居ていつでも技術を聞けるなんてそんな職業が他にあるでしょうか?恵まれてますよ、農業!
植えつけられたブロッコリーの苗
とはいえブロッコリも価格が下がってきているので、なんとか時間や経費を抑えて時給を上げていく方法を模索している1年目です。うまく出来るととてもうれしいです!


2018年4月25日

新規就農者の激励会でごちになりました!


阿部たけしです。飛び地だらけの私のブドウ団地の農地に関してですが、その後どうなったの?とお問い合わせを頂きました。関心をもってくれることに感謝です。しかしながら。。今のところ、進展はほぼありません。いただいたアドバイスから役場の農政課へは「もし今後もお声をかける予定がないのであれば私が農地の所有者や中間管理機構に働きかけたい」という要望は半年前の、N嶋さんと農地を振り分けた半年前に伝えてあります。

先日、役場の方に「もし役場で動けないのであれば農地の所有者のリストアップをお願いできませんでしょうか?」と改めて伝えました。役場も忙しいとは思いますが、ちょっとこのままでは家族に申し訳なく、まとまった農地を譲ったN嶋さんの顔を見るたびに「どうして私だけがこんな苦労を…」と、本来起きるはずもなかった悲しい想いがこみ上げてきてしまうのです。これが私の包み隠さない今の心情ですが、とはいえそれが現状というだけで、いつかは良くなるだろうという想いは変わりません。大丈夫です。

  さて、昨日は「新規就農者の激励会」なるものがありました。上田市、東御市、長和町、青木村で今年は15名が新規就農者とのことで、彼らを祝う会なのでした。上田市のささやでおいしい食事とお酒を1000円ポッキリで振舞ってもらい、先輩の農家の皆様から話しが聞けてとても有意義でした。ブロッコリ栽培に関してクリティカルっぽい情報ももらえてご満悦なのでした。(お話できなかった方も多かったのですが、またお会いして近くの席に座らせていただいたときは「へぇー!」と思わず声を出してしまうようなお話を楽しみにしております!)

その後、丸子のりんご農家さんのHさんに初対面ながら上だのバー(RM)に連れてっていただき、おいしいワインや料理をご馳走になってしまいました。出来る男はなにかあるわけですが、やっぱりこの人も違いました。海外を知ること、おいしいものを知ること、よいお店を知ること、よいものを造ること、良いものを食べることが地域と農業の未来を造る、仲間は大切、など、トークの中から学ばせていただきました。


人間力。少なくても私はこれでこの人のファンになったし、この人の育てたりんごやシードルを味わいたい思わせました。これこそが魅力。なくてはならないものです。私もちょっとずつ人間力をつけていけたらなぁと思った1日でした。

そうそう、今月頭に息子達を北海道のじい&ばあちゃんに会わせることが出来ました!

2018年3月3日

長和町でワインイベントがありましたよ

3月1日、【黒耀ワインプロジェクト NAGAWA WINE & FOOD FES 2018】が
行われ、私も長和町がこれからワインなどで盛り上がっていくためのワインブドウ栽培者のひとりとして現状を発表してきました。

私は「100年続くワイン作り」としておいしいワインが造れる理由を説明しました。また奥さんと子供が手伝ってくれるうれしさやどうして細々と自給自足暮らしをしていた人間が急にワインで町を盛り上げたいと言い出したかについて語りました。

いつも通り、しっかりと緊張して汗でマイクがうなぎのつかみ取り状態になりましたが、その後、数人の方に発表良かったよ!ワイン飲みたいです!と言っていただけたので満足でした。長和町に私が目指すボーペイサージュのワインをご存知の方がいたのはうれしかったなぁ。

トークショーでたつみたくろうさんが話す様子
 イベントの内容は以下のような感じです。(参加費は1人3000円)
・スペシャルゲストにワイン通で知られる辰巳琢郎さんをお呼びしてトーク
・研修生2人が現状と将来を発表する
・長野県産ワインをテイスティング
・長和町産の食材を使った料理を楽しむ

このイベントは長和町が主催ですが、実は町内で造られているブドウで造られて町内の方が販売しているワインはまだ1つ(オードリーファームのやまぶどうワイン)だけで、その他に出されるのワインは全て町外のNAGANO WINEです。

なので趣旨的には「長和町の町民のみなさんにワインをもっと飲んでもらおう」という方向性なイベントと感じました。NAGANO WINEを広める活動なのだから長野県から応援してもらってもいいのかも。

なのでこのイベントの主役になるのは長和町産の食材を使った料理とオードリーファーム奥山さんの山葡萄ワインです。(やまぶどう一本で生活を続ける奥山さんをゲストの辰巳琢郎さんも褒めていました!自身もやまぶどうと甲州でワインを造られているのですから注目度は高いはずです)

ゲストの辰巳琢郎さんの知識は素直にすごいと思いました。この方、ワインにかかわらず、なんでも知ってる。そして今年の10月末から始まる日本ワインの原産地呼称制度よりも前に長野県では原産地呼称制度が制定されたわけですが、その立ち上げに田中やすお元県知事と一緒に動いていたことに軽くビックラぶっこきました。

 食事会の合間に、私も辰巳琢郎さんと2人でお話する機会がありました。
・品種なにを植えるの?という話になり、シャルドネ、メルローの長野県推奨品種に加えて好きなリースリング、その他手に入った品種はいろいろ試しますと答えました。するとマスカットベリーAもいいよとか
・また、全国で誰もやってない試みにチャレンジすることを伝え、なんともいえない反応を頂きました。(現在、私がこれをやることを知っているのは奥さんともう1人だけです)

長和町の食材は私はお酒を注ぐ立場だったので、昨年同様、ほとんど食べられませんでしたが、おいしいものが多かったようです。チョウザメのマリネとジャポンド・ヒメキさんの生ハムはしっかり頂きましたが、のけぞってしまうおいしさでした!これはどこに出しても恥ずかしくないですね。

次回はぜひ、ワインが出来た際にやりたいですね。その際は個人的にもパーティしたいと思いますので、そらいろ農園のワインに興味がある方はご参加ください。
 
ジャケットにブローチをつけてくれた奥さん、ありがとう!



2018年2月14日

コラム「ワインが人を成長させ魅力的にする」

今日は「ワイン会」について書きます。
ワイン会はちょっと特別な空間で一風変わったルールみたいなものがある。38歳を超えてからのワイン会。最初のうちはとまどいがたくさんあった。でも私も少しずつ彼らの文化が体に染み込んできているので、そのうち気がつかなってしまうと思うから今のうちに書き残したい。


もう何度目だろうか今日はN嶋さん家で男3人のワイン会。
2人が交互にキッチンに立ち、各々が買っておいた食材で料理を手際よくさっと作る。
(ちなみに私は恥ずかしながらまだ作ったことが無い)

まず人物像を書いておこう。私たち3人は農業の研修で2年間を共にしたワインブドウ栽培の研修生仲間だ。

まずN嶋さんは50代男性。ワインバーを2店舗経営していた経験豊富なシニアソムリエ。何をやっても器用にこなす音楽とワインをこよなく愛する男である。いつでもまっすぐな背筋、インテリで知的な雰囲気。国でいうならフランスだろう。

もう一人のS井君は20代。シェフの経験を持つユーモラス。彼が料理を愛していることは料理の話になるといつもの1.5倍話す様子を見れば分かる。食べることが大好きで汗だくになって農業に打ち込んだあの暑い夏でもぽっちゃり体系を維持していた。見た目も正確もイタリア人っぽいなと思う。

ちなみに私は先月40代になった。そんな20代、40代、50代の生きてきた時代も価値観も何もかも違う3人の男が「ワインを作りたい」という唯一の共通点で出会い、友人となったわけだ。

さて。
まずワイン会では一人1本のワインを持参する。3人なら3本。20人集まれば20本にもなる。ひとりで1日に3本のワインを開けるのは難しいわけで、いろいろな種類を飲みたいワイン好きとしては「ヒトリイッポンシステム」は異論の無いのシステムなのである。


では持ってくるワインをどうやって選ぶのか。「今日はボルドーね」などテーマが決まっていることもあるけど大抵は決まってない。ワイン会は数日前のワイン選びから始まる。お店だったり、ネットショップだったり、自宅のワインセラーから選ぶ成功者も居るだろう自分が飲みたいか誰かに飲ませたいワインを持ってくれば間違いない。ワインは種類が多いことに加えて、ヴィンテージ(収穫年)が違うだけで別物となるので、20人集まっても被ることはまずない。

お金を払えば料理がついてくるワイン会ならそれだけで済むのだけど、自分たちで料理をするとなるとメニューも考えることになる。

通常の飲み会なら「今日何にする?」「鍋ー」「焼肉!」とか食べたいもので決めていた。もしくは「中華」「和食」で入るお店や買うものを決めていたはずだ。だけどワイン会は違う。1品1品、ワインに合わせたい料理を考える。

しかしあるとき、S井君が「あれ食べたいなー」と言いながら食材を買っていたことがあった。食べたいものを買ってたら持ってきたワインに合わないじゃないかって?確かにそうであるが、ワイン会では複数のワインが集まるので、誰かのワインが誰かの料理に合うことも多い。これは幅広い味わいのあるワインだからこそだろう。

ちなみに、ワイン会に持っていくワインはサプライズ要素があるらしく、事前に「赤?白?」と聞くことはあっても、どのワインを持っていくかはお互い言わない。これも面白い。

その逆でS井君は持っていくワインからマリアージュを考えて料理の食材を選んでいることもあった。スーパーのお肉コーナーの前で「あれにはあれが合いそうだなー」と料理の味とワインとの相性をうれしそうに想像しているのだ。



そしてワイン会が始まると料理が始まる。料理に合ってこそのワイン。男たちがキッチンでささっと調理をこなす姿はかっこいい。しかし、あれ?しかし最初のころはここでも違和感があった。この違和感はなんだろう。

そういえばそもそも男3人で料理会などするだろうか?調理師を志す仲間とかならいざ知らず、男が男の家に言って男に料理を振舞うだろうか。相手が女性であればたまに男性が腕を振るうことはあれど。例え友達に料理を作ることがあったとしてもせいぜいもやし炒め程度だろうし、男に出す料理に色合いでふきのとうを入れたり、サラダにマグロやタコを入れたりはしないはずだ。

それがワイン会では、在りえる。ワインは酔うためのお酒ではあるけど、合わせる料理もワインと同じくらい大切だからだ。ワインと料理の相性(マリアージュ)を本気で考えて本気で料理して全力で楽しむのだ。

ほのかなワインの香りを逃がすまいとある者はグラスに鼻を突っ込み、ある者は口に含んだワインに空気を送るためにジュルジュル言わせ、ある者は味に集中するために目を閉じて味わっている。


更に、各々が持ってきたワインの生産者や産地、畑の土壌や傾斜、その年のその国の気候、栽培方法や醸造方法、何年寝かせたかなど、そしてラベルのデザインに至るまでが話題に上る。

もっと言えば私たちは作り手である。こんなワインが作りたい、このワインはどうやって造っているのだろう、気候がこうだから雨量がこうだから仕立て方はこうで・・・とワイン100%の時間を過ごせるのだ。なんと有意義で楽しい時間なのだろう。

ワインが好きな人に食事も好きな人が多いのは偶然ではない。ワインがその人の食事への向かい方を成長させてくれるのだと私は納得している。私もいつかキッチンに立って仲間にワインに合う料理をさっと振舞いたい。今はまだ恥ずかしいのでもう少しだけ時間がもらえたら幸いである。

つづく。