2011年10月16日

親から子へ伝えていくもの

そらいろ農園のあべっちです。
いやー,書けません。書きたいことはたくさんあるのに全然,書けませんでした。

311の原発事故以来,やっぱり気持ちが沈んでるわけです。


 ちなみに嫁さんも自身のブログの記事をもう3ヶ月以上書けてません。
ひねくれた私は以前からテレビなどのメディアが嘘やプロガバンダばかりなのを知っていましたが,
素直な彼女は今回,それを身を持って体感したわけでそのショックは大きかったのでしょう。


願うは日本が,世界全体が,脱原発の正しい方向へ進むこと。それだけです。地球と地球上の生物たちが1年でも長く持つように出来る限りの行動はしていこうと思ってます。

さて今回は先日,長野の家に水くみと夏野菜の撤収作業をしに行ったときの話です。


10月の始め。
ちょうど休みが重なったとのことで母と姉も遊びに来てくれることになった。

うちの母は「この人なら山に置いていっても生きていける」と誰もが言うほどの山好きだ。
週末はもちろん、暇を見つけては車を止めて山道に入る。旅行やハイキングに行く目的は森や林。

彼女の房総の実家の庭は地面はもちろん壁も鉢植えも数え切れない山野草で埋めつくされている。
自然豊かな村なので他にも自然はあるだろうにメジロの夫婦はこの小さな庭に毎日やってくる。

そんな母とみんなで散歩に行くことになった。
母は2歳のわが子はおばあちゃんにだっこされてうれしそう。
おばあちゃん身長153cm,2才半の息子105cmで17kg。…重いでしょ。

秋も深まってきた10月初めということで沿道には見事な枯れススキが群生していた。
これをパキッと長く折り取って息子に渡す母。すぐに剣のように振り回して遊ぶ息子。


ススキを折り取る母と渡されたススキで母を突く2才の息子…

それを見て私もススキを手に取って、ポキっと……あれれ、茎がねじれてしまった。
・・・では、ねこじゃらしのようにスポッと抜けるタイプなのか・・・うーん、抜けない。

母は片手で簡単に採っていた様子だったのに。
結局、両手で茎をねじってねじってねじり切った。切り口がひどいささくれになって汚い。

その様子を見ていた母が私を呼び、
「見て。ススキは上から見ていくと・・・ほら、節があるでしょ。
この節の真上で折り取るの。こうやってね。」
と実演して教えてくれた。

やってみると・・・あら本当!節の真上だとポキッと折り取れる。
すごいやすごいと感動する私たち夫婦に「こんなの誰でも知ってるよ~」と母。
いやいやいやいや、私たちの周りでは数えるほども居ないって。

お月見の時にはススキを採りにくることもあるだろうし、似た植物でも使えるかもしれない。
田舎暮らしの技をどんどん身に着けたい私たちには宝物であることは間違いない。

そこで思ったのだけど、こういう技を親は子供に積極的に伝えて欲しいと思う。
今の時代はネットで料理のレシピでも保存食の作り方でも分かるからと敬遠してないだろうか。
もっと胸を張って教えていいと思うし、子供たちはそれをありがたく吸収するべきだ。

味噌作りや梅干作り、野菜作りに家の直し方など、先祖代々、その地域ごとに家庭ごとに、
大切にわが子へと伝えてきたからこそ今の豊かな生活があるのだ。
親から子へ伝えられていく技はシンプルだけど誇り高くて一生使える大切なものだ。
ほらお金出してわざわざ遠くの料理教室に通ってるあなた、近くに良い先生が居ないかい?

もちろん教わる中には農薬は安全とかデモは駄目などの古臭くて間違ってることもあるかもしれない。
だけど生き物は親の良かったところをさらに伸ばして命を繋げていくものなのだ。
悪いところは捨ててもいいし変えてもいいのだから。そして自分の中に取り入れた知恵や技術を
今度は自分の子供や近所の子供たちに分かるまで教えてあげよう。

考えてみるとおばあちゃんと3世帯で住むのが当たり前の時代にはこういう技術のやりとりは
日常的に出来たのだと思う。だけど離れて住んで電話のやりとりや年に何回か会う生活になり、
教えてもらえるチャンスが少なくなったのではないだろうか。

ほら「お母さん、今度○○の作り方教えて」「親父、雨どいってどうやって直すの?」と
恥ずかしがらずに聞いてみよう。きっとすこし嬉しそうに「あ~、あれはね・・・」と答えてくれるはずだ。


17時のサイレンの音で2歳児を踊らせようとする愉快な家族達。

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