2011年11月16日

知れば知るほど里山っていいな

山を歩けばここそこかしこで植物に出会える。季節を感じられる。
山を歩けばここそこかしこで動物や植物に出会える。季節を感じられる。

こないだの日曜日,家族で千葉県長生郡一宮町の山にお散歩に出かけた。
千葉は11月中旬だというのにまだまだ温かくてぽかぽか陽気。
太陽の下だと上着は要らないくらい。本当,千葉県って温暖だよね。

田舎のありきたりな国道の風景が,ひょいと1つ曲がり急な坂道を登ると,ガラリと変わる。
目前に広がるのは平らな田畑と山。

大きすぎない畑は自家消費用だろう。家の横の空いてるスペースには柿の木が何本も植えられ,少し離れたところに竹林が育つ。そう,ここはいわゆる里山。田舎暮らしを夢見る人には憧れの存在だ。

里山に住む人達の暮らしぶりを見るのも楽しい。彼らのDIY作品や庭の柵の作り方などは今の私にとっては目の保養になる。私は六本木や渋谷の100坪よりもこっちの100坪の方がずっとうらやましい。

竹があれば野菜作りの支柱にすることが出来る。プラスチックや合成樹脂よりも弱いけど,燃やせば良く燃える燃料になるし,100%天然素材で土にかえる。つまりゴミにならない。もちろん柵にも目隠しにも使える。竹は和の雰囲気を出すにはうってつけの素材だ。

柿があれば旬の生柿として楽しめるし,さらせば干し柿にもなる。青いまま取って2年も待てば天然塗料の柿渋にもなる。買えば高いのよこれ。もっと有効利用すればいいのにそのままにしてある木が多くて残念。私が近くに住んでいたら声をかけるだろう。「見事な柿の木ですね~」と。

野生の木イチゴもあった。ジャムにしたら美味しそうだ。
写真はいろいろなものを楽しそうに見つけてくる母とどこにでも一緒に行こうとする2歳児。

私は食べられる食べ物にしか興味はないけど,例えばそちこちに生えてるツタはリースに使える。
乾燥した赤い実を飾っても可愛い。ここに居ればお金やガソリンをつかってお店まで行って材料を
買う必要は無い。季節季節で採れるもので作ったらいい。そのほうがまた季節感が出て素敵にもなる。

今回も奧さんは母から植物のことをいろいろ聞いて勉強になったみたい。これもリースで使えるだの,これはかぶれるから駄目だのね。奧さんも何度か作ったことがあるのでリース情報には興味津々。田舎暮らしを始めてからのクリスマスが楽しみだ。


奧さんが気に入ってたキク科の白い花。山野草の花は小さくて可愛い

奧さんが気に入ってたキク科の白い花。山野草の花は小さくて可愛い。


リンドウの花。食べられない花に興味はないけど綺麗だとは思う

リンドウの花。誰かの手で改編されてない自然本来の美しさがある。

もちろん,里山は子供の遊び場としても最適だ。
今日は朝5時に起きて眠いはずの息子(2歳7ヶ月)も元気に走る走る。

てんぐのはうちわ(八手)を見つけて「みて,おっきいて!」と驚く息子。

てんぐのはうちわ(八手)を見つけて「みて,おっきいて!」と驚く息子。

大好きなキノコの野生種を見つけてつんつんしたり,大きなカマキリがたくさん居たり。
体長70cmほどの小さな蛇も息子が一番に見つけた。


外でみんなで食べるとなんばいも美味しいから不思議

女性陣が作っていたお弁当でかんたんにお昼ご飯。
外でみんなで食べるとなんばいも美味しいから不思議。

お散歩ついでに私は枝を煮炊きに利用出来るロケットストーブ用の桜の枝を拾ってきた。都会では,というか日本中どこでも2011年現在では折れた枝などは邪魔なゴミでしかない。拾って帰ればむしろ喜んでもらえる。こっちとしては小枝1本でも2本でも拾ってでも帰りたいものなのに。不思議だ。

今日も収穫がいっぱい。笑顔がいっぱい。ショッピングに出かけるよりもずっと楽しい。
人は里山近くに住むべきだ。もっと里山を利用するべきだ。

2011年11月7日

乳搾りを体験したくて千葉県富津市のマザー牧場へ

東電が「原爆炉」の再臨海を今になって認めただとか,野田政権がTPP交渉に参加だとか,この国の政治家の人類を滅ぼす勢いのダメぶりが身に染みる日々が続いております。こんな状態を信念と命を燃やして時代を切り開いてきた祖先達が見たら悲しむでしょう。

でも今回はそんな怒りと悲しみに満ちた話題はひとまず置いて,息抜きを。
そんなわけで先日,千葉県は富津のマザー牧場へ行ったときのお話をさせて下さい。


天気の良い先週の水曜日,ちょっとご近所までと行く当ても決まらないまま家族で家を飛び出し,そのままの勢いで80km離れた富津市のマザー牧場へ向かっていた。うちはいつもこうなのだ。

普通に動物を見に行くだけなら近場の市川市動植物園でも千葉動物公園でも良かった。しかし私には牛の乳搾りがしたいという目的があった。移住してからヤギ飼いになるためにどうしても早いうちに乳搾りを経験しておきたかったのだ。


▼私が山羊を飼いたい理由
始めにどうして私がヤギを飼いたいと思ったかを話しておこうと思う。実は理由は単純で,田舎暮らし情報を集めてるときに読んだ「それ系の本」にはことごとくヤギが登場していて彼らと共生している生活の豊かさとヤギさんの可愛くさに引きつけられたからだった。
(牛の乳搾り会場までの道中でヤギに枯れた草をあげる息子)
それに加えて有機農法での堆肥の自給も視野に入れたとき,勉強すればするほど私のこれからの生き方にはいろいろな動物の助けが必要不可欠であることも分かった。こうしていつしか私はニワトリとヤギは是非とも飼いたいと思うようになったのであった。

鶏はとても優秀な生き物だけど,ヤギさんしか出来ないことだってある。例えば剪定した太い枝ですら食べてくれる。鶏は狩った草しか食わないがヤギは生えたままの雑草も食べてくれる。なにより交配させれば貴重な山羊ミルクを出してくれる。ほ乳類で癒しキャラで可愛いしね。

ほらほら,貴方も飼いたくなってきたでしょう?


▼牛の乳搾りだけはやりたい!…でも
マザー牧場には13時に到着したのだけど,楽しみにしていた牛の乳搾りの最終回が13:30~ということが分かって焦った。お昼時でお腹は減っていたけど,ここで食事を取れば,広いマザー牧場だ,2歳児も居るので乳搾りの会場に間に合わなくなる可能性が出てくる。(実際,乳搾り会場へは歩いて15分はかかった)

奧さんに乳搾りだけは体験したいと伝えても「んー,まずはご飯かな」と話を聞かない。どうでも良い話なのだけど,私のワイフは腹が空くと機嫌が悪くなるお方である。それでなくてもうちでの私の立場は他人が聞いたら胸が締め付けられるほど貧弱で,私の要望が通ることはまずない。

今回も結局「でもまずはご飯かな」と食べ物屋しか探さない奧さんに負けてレストランに入った。ならば速攻で食べ終わってダッシュで行ってやろうと私は観念した。…難しいだろうけど。

しかし奇跡は起きた。私がレジに居た店員さんに「クレジットカードは使えますよね?」と聞いたとき,「現金だけなんです」と返ってきたのだ。ここで私の脳みそはフル回転した。本当は右ポケットに現金はあったのだけど(私はひったくり対策で財布に大金は入れない),財布に400円しかないフリをし,「えー!なんて残念だろう!」と店を出たのである。

これにがっかりしたのは奧さん。その分かりやすく落ち込んだ表情は目も当てられなかった。始めて私の給料を知ったときくらいのがっかりぶりである。

財布の400円で買える食材と持って来た柿の種をみんなで食べててもまだ苦笑いをしてたので,そんな奧さんを励ますためにごめんねと心で思いつつ,「だって仕方ないだろう!」と逆ギレした。

とまぁ,それだけ乳搾りがしたかったというそれだけの話である。
(ちなみに乳搾り後に奥さんには後でネタばらしをして,ご機嫌を取った。)


▼いよいよ牛の乳搾り体験!
そんなわけでヤギならぬ牛の乳搾り会場へ到着。

小学生達が学年レベルで来ていて自由行動だったので牛の前は長蛇の列だと思っていたのだけど…あれれ,意外に人が居ない。待ち時間0分。ありがたいと思う反面,やはり今の子どもは食に興味が無いのかなとも思ってしまった。



(乳搾りをしながらインストラクターの方にコツを聞く私)
1つの乳首を2回も絞るともう出なくなる。若い女性のインストラクターの方がこっちを絞ってみて下さいとアドバイスをしてくれた乳首を絞るとピューと出る。何が違うのか私が見ても分からない。なんとも悔しい。

変な話,人間の男は女性のおっぱいが大好きで,思春期ともなれば24時間のうち3時間はおっぱいのことを真剣に考えている。いや本当に。海沿いにボロボロのエロ本が落ちてたら拾ってきてアイロンがけしてでも見たり,ベッドの下やパソコンの奥の真面目な名前のフォルダに隠してまで見てるんだから。それなのにいざというときにどの乳首からミルクが出そうかすら分からないなんて…面目ない話だ。

ちなみに牛のおっぱいは4つあった。てっきりヤギも4つだと思ったのだけど,帰宅後に調べてみたらヤギは2つだそうで。2つなら交互に搾れば迷うことがない。少し安心した。

手先が器用な奧さんもチャレンジ。私よりもマシなものの,それでも映像で見てたあんな感じでは出ない。ビューーー,ビューーって感じね。あれにならない。

いやー,良かった。これを今すぐに飲みたいところだけど,今のご時世,病原菌に弱いクリーンな人も多いのでそれも出来ないのだろう。残念だ。

ともあれ今日はあの感触を体験出来て良かった。そして搾られてるときの牛のおとなしいこと。
本では知っていたけどあれは本当だったらしい。良い経験が出来た。
 
移住してからヤギさんをどうやって手に入れてどんな小屋を建てて,どうやって交配させるか,
オスが生まれたらどうするかなどはまだまだ未定。だけど想いは膨らむばかり。

その日を夢見て,私達は今日も北海道産牛乳をありがたく飲むのであった。

(牛さんにいいこいいこをさせてもらってる親子)

(記念撮影。牛さんはやっぱり大きくて息子は強がってもやっぱり怖い)
(こちらは肉食用に改良されたヤギさん。犬みたいで可愛い!)

2011年11月3日

4月からのそらいろ農園の野菜作りについて

夏に毎朝食べてた夏野菜のバジルトースト。ほんとうに美味しかった。
この記事をアップさせてもらった時点で長野移住まであと149日!
さて,今回は4月からようやく本格的に始められる,私のこだわり野菜,またの名を
「理想ばかり並べて本当に出来るのか本人もドキドキ野菜」について書かせてください。


そらいろ農園の今後のやり方や経営理念なども書くメモ的なものなので,かなり長くなります。
それなので今回は興味のない方は読まなくても結構だと思います。(コラー)

▼使う種について
作り始めは無理でもなるべく自家採種して購入するF1種は減らしていく。
なるべく長野で昔からある固定種,在来種を探して育ててみる。
(しかし,意外に農協に行ってもそういう類の物は無いから困る…)

その野菜の旬を大切にする。季節外れの物は作らない。
(ただし,鶏糞の発酵熱や太陽光などによるパーマカルチャー施設が充実してきたら
そのエネルギーを無駄にしないためにも何か作って見るも面白い)


▼害虫対策について
害虫駆除に農薬は使わない。化学農薬はもちろん,牛乳など安心な類の農薬も使う予定は無い。
そしてそれをこうして公言することでそれを確実にしておく。それだけ使いたくないのだ。

「家族が安心して皮や葉っぱまで食べられる食べ物を作る」ことは私の人生の目標。
私の信じるいちばん大切な部分だ。誰になんと言われようともここだけは譲れない。
とうもろこしの株に1匹ずつ居らっしゃったカマキリ。冗談抜きで本当に1匹ずつ居た。
動画で撮れば良かった。1匹1本が縄張りなのかな。

よく「農業をやるには農薬は必要」だとか情けないことを言う方が少なからず居て,
そしてそういう人ほど声が大きかったりするのだけど,それは違うと思ってる。
なにせ世の中には知恵と努力で無農薬野菜を作っている先人が居られるから。
使わないなら使わないに越したことはない。

農薬や化成肥料を使いたく無い理由を具体的に書き始めるとTPPやモンサント社など
政治的な問題も絡んでくるし,私も触ると火傷するほどにヒートアップして長くなるので,
そこは次回に語らせて貰えたらと思う。

除菌や殺虫剤の類ではなく,ヨモギの発酵エキスなどは葉面にスプレーしてみたいと思う。
発酵こそ,これまで大切に受け継がれてきた日本人最高峰の知恵であり,昔ながらの
野菜作りの手助けをしてくれるものだと思っている。


▼施肥と土作りについて
土は耕さないので堆肥も肥料分も地上への施肥となる。
与えるのは生活の循環の中で自給できるものだけにしたい。

●使う予定の肥料や資材
・台所から出たEM生ゴミ,またはミミズコンポストゴミ(ご近所様からのお裾分け大歓迎!)
・毎日のお米のとぎ汁は発酵させて土に散布する。
・鶏たちが作ってくれる発酵鶏糞(与えるタイミングを見極める必要がある)
・薪やロケットストーブで毎日出る灰(アルカリ性を求めるものにだけ使用)
・近所の落ち葉で作った堆肥(未熟な場合は冬の雪が降る前,完熟は2月位に)

ポイントは全てを発酵させてから使うこと。そして土の植えに蒔くことにより,
スピードはゆっくりなれど,じっくりと確実に分解されてから植物の根本へ届くということ。
将来的にはトイレコンポストを作って人糞や犬糞なども発酵させて利用していきたい。

草を残したことで地中の生物も増えた。ここそこを掘れば太いミミズにすぐ出会える。
モグラの通った穴もたくさん見つけられた。これはミミズが増えてきた証拠だ。
ミミズは地上に近い部分の有機物を積極的に食べてくれ,地中へ運んでくれるし,
その糞尿は土壌を健康的にアルカリ性に保ってくれるのだ。


▼雑草対策について
雑草はなるべく狩らない,極力抜かない。
畝の周りが歩きづらい場合,作物が負けそうな場合は刈り取り,その辺りに敷く。
種まきや苗植えのときに邪魔になる場合は根から抜く。

雑草は生き物たちの住処になる。根は土を豊かにしてくれる。
少しずつ雑草なども多種多様な品種になるように工夫をしていきたい。


▼収穫量について
これが私の農法の最大の課題だろう。
この夏の収穫量は最低だった。これでは話にならない。
9月19日の最期の収穫

肥料や資料を自給できるようになってきて土が出来てくれば,収穫量は増えていく。
抗生物質とストレスまみれの鶏が出した鶏糞ではなく,私自身が平飼いで自然に
育てた安心安全な発酵鶏糞で畑が埋め尽くされれば。これには2年はかかるか。

嬉しいことに私のようなやり方は近代農法のように大成功はしないことと引き替えに,
近代農法のような大失敗(害虫大発生,病気蔓延)もしないのだ。
他から見れば貧乏なりとも,家族が笑顔で自給生活をしていける位には上げていきたい。


▼販売と宣伝方法について
満足に作れるようになり,これを他で買わなければ月2万~3万円の収入と同じ事になる。
なにせ都会で買えば2,3倍は高くて田舎では目にする機会も少ない有機無農薬野菜だ。

しかも私は有機野菜協会が認めている「場合によっては化成肥料を使って良い」や
「会が認めた数十種類の農薬なら使っても良い」という曖昧さも使わない。

でもこれも売れなければ生きてはいけない。
宣伝の方法として地域のイベントに積極的に参加して知って貰う,家でも販売する,
ネットショップも満足のいくデザインにする,常連の方にはサービスも考える,
ブログの更新回数を上げて私達の生き方を知って貰う,などを考えている。



以上,偉そうに理想ばかり並べて…と思うかもしれない。
だけどこんな遺伝子操作や農薬や抗生物質まみれの食べ物ばかりが並ぶ時代だからこそ,
利益よりもまずは理想を追う農家が居ても良いと私は思う。(でないとバランスと取れない)

私にとっては人生すべてをかけたこの挑戦が成功するかどうかを応援してもらえたら嬉しい。
日本には私と同じ考えの方も少なからず居ることも知っているので,私はその方達と
一緒にこれからの人生をゆっくりとしっかりと歩んでいきたい。

壁にぶち当たることは多いと思うし,妥協しなければいけないこともあるだろう。
でもその時には正直に発表して行こうと思う。とにかく嘘だけはつきたくないし,
正直にさえやっていけばいつか認めて貰えるとも思ってる。

あと149日。移住したら目がまわるくらい,忙しくなる。
農作業をして,かまどを作って,鶏小屋を作って鶏を飼って,家の掃除をして,
薪ストーブを導入して,出来るだけ電気ガスを使わないように調理して,
子どもともいっぱい遊んで,毎日使う薪を作って,果樹の世話をして,
パーマカルチャー的な物もどんどん取り入れたい。もう止まらない。

だから今は,4月までに出来ることをやっておこう。
今だから出来ることだって探せばたくさんあるはずだから。


余談だけど…。
どんな苦難にも耐えられると信じてるけど,放射線汚染だけは無理だ。
腹の中の子のDNAまで変形させるあの汚染だけは根性で絶えられるものじゃないからだ。

だからもし今度は新潟にある世界最大の原発で事故が起きて長野が汚染されたら私達は逃げる。
例えそこに数十年かけて作った私達の楽園が出来ていても…泣きながらでも,逃げる。