2017年3月11日

千曲川ワインアカデミーでの最終発表

私のアルカンヴィーニュの卒業発表の日。卒論みたいなものかな。お題は私のワイナリー計画、マーケティング方法とブランド哲学。

でも長和町の研修生の圃場は大体のエリアしか決まっていない状態。なので植えつけ本数や仕立て方法なども案はあれども圃場の形や傾斜で変わってくるので発表することが出来ない。

なので「ワインは作り手を表す」の部分をメインに紹介しようと思った。私の人となりを伝えることでこんな私と家族が作るワインだからきっとあんなワインになるのだろうな。と思ってもらえたらいい。ワインはそこがいいのだ。

発表は皆さんおおいに笑って楽しんでくれました。発表後に質問を頂ける方もいらっしゃいました。
伝えることって大事だなと感じました。

以下、発表した内容を抜粋してここに残します。
長いので読まなくても大丈夫です。興味のある皆様はお時間があればお読みください。



私のワイナリー計画
50年続くワイン作り
2016-J01 阿部健史(あべたけし)

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▼お礼
アカデミーでは1年間、大変勉強になりました。これまでの人生でここまでここまで一生懸命に1つのことを勉強したことはありませんし、毎日こんなにたくさんの本を読み答えを求めて考え抜いたことはありません。この1年は私の人生の中でも20本の指に入る、まさしく青春の日々だったと思います。

▼お詫び
さて発表に移りますがその前に私の滑舌が悪いことを最初にお断りしておきます。バスガス爆発、練習してもダメでした。みなさん、べーしたときに顎まで届きますでしょうか?私は舌唇を隠せるくらいしかないんです。この小さな舌がワインのテイスティングにも影響していますね。

▼自己紹介と家族構成について

名前は阿部健史と申します。
家族構成は妻一人、子一人、猫1匹。
家畜構成は山羊1頭、鳥60羽です。
【写真スライド 02自己紹介05まで】

住所は長野県長和町。電話番号は080-4001----。一生変わらないメールアドレスはta@------.comです。ツイッター、フェイスブック、ブログやってます。既婚、新興宗教、無党派層ですので安心してご連絡ください。

▼手作りと循環生活
すぐに「私の目指すワイン」について話したいのですが、ワインは作り手を表すと言いまして私がどんな人間かを知る必要があると思います。そこで私について説明する意味と、時間稼ぎの意味を込めて少し、写真で私たち家族の生活を紹介します。

私たち家族は手作りと自給自足を楽しんでます。各種野菜、お米、もち米、小麦、雑穀、卵、山羊ミルク、山菜、きのこ、石けん、シャンプー、酢、化粧品、鹿肉、ケーキ、お菓子、ジャム、自家焙煎コーヒー、などなどなどなど。まだやってないのは養蜂のはちみつくらいです。


例えば鶏を飼っているのですが彼らと私たちの共存は素晴らしい循環を生み出してくれてます。

まず彼らは調理で出る野菜くずを喜んで食べてくれます。そして毎日を産んでくれます。抗生物質やホルモン剤を与えてない彼らの出す平飼い鶏糞はその辺で200円で売られているものとは安心感が違います。そんな鶏糞で堆肥を作り畑に戻して野菜を作ってます。

そしてその畑で採れる野菜の残差や畔に生える雑草も彼らの食糧になります。人が食べた後の卵の殻も畑に戻せば一か月で微生物に分解されます。完璧です。

そんな自給自足も染みついて当たり前のことになってきた去年、「長和町でワインを作る人を募集する」という話があり、面接を通ることになりました。

こんな自然を愛し、生き物を愛し、家族を愛する私が作るワインですから、
きっと「そういうもの」「そういうワイン」になっていくと思います。


▼ワインを飲みまくる
ワインなんて人生で2本くらいしか飲んでなかった私はワインを飲むことから始めました。
最初に飲んでいたさんざんたるものでした。今見るとお恥ずかしい限り。

ワインに詳しいS君やソムリエのN島さんがいろんなおいしいワインを飲ませてくれ、またアカデミーでのテイスティングや仲間とのワイン会を重ねるたびに少しずつワインの味が分かるようになりました。この1年間で160種類は飲んだと思います。



【写真スライド 06ワインを飲みまくる (10)】



▼研修について
【写真スライド 07研修について (1)】

JAの研修としてはブロッコリの収穫と苗定植、玉ねぎ収穫、圃場の草刈りが6割、あとの2割がリンゴで2割が巨峰の作業でした。


JAでの研修では研修生としていろんなワインブドウの圃場に行って勉強させてもらったり、いろんな先輩栽培家の話を聞けたりしたのはラッキーでした。その時には自然栽培&独学で野菜を育ててきた自分ならではの視点からの気づきでいろいろなアイデアを思いつきました。

私が考えているのは出来るだけブドウが高品質(糖度が上がる、フェノール類が充実する)になる栽培方法と、各作業が少しでも快適になるアイデア満載の管理方法です。少しでも安心安全で個性のあるナイスなブドウが獲れる根拠をいくつもちりばめます。まだチャレンジもしてないので内容を話すことは出来ませんが、成功した暁にはどれが失敗してどれが成功だったかを発表したいと思います。30のうち15でも成功すれば画期的だしそれでも十分成功できると思ってます。


▼栽培計画について

【写真スライド 08栽培計画1】
来年の4月から就農する場所は長野県の長和町で、こちらが圃場予定地の日向地区です。地区が確定しただけでまだ持ち主との交渉すら始まってない状態です。それでも2haを目安に農地を借りる予定に決まりました。

今年はここの圃場をライバル?のN島さんと整備していくことになってます。業者に頼めば数億円とのことですが、自分達で頑張れば月給だけで済みます。小型特殊免許を取り、鹿柵を張り、了解が得られたら石垣を崩して整備します。本格的な冬までに土づくりも始めなければいけません。そして来年春には苗の植えつけです。

植える品種につきましては(略)、自分の育てたい品種を植えさせていただけることになりました。関係者の皆様には感謝しかありません。ありがとうございました。

町にワイナリーがない件や私たちに醸造経験が少ないという問題点などについてはおそらくN島さんがお話しすると思うのでそちらを参照ください。

町で作るワイナリーの進めばまた違うことになることもありますが、そういうのが一切なかった場合の私のワイナリー計画はとてもシンプルです。ぶどうの収穫開始初期は年間2000本の委託醸造を行います。

2000本という数字には意味があり、これは日本ワインコンクールに出品出来る最低流通本数です。無名の私が売れるワインを作るためには何かしらの評価が必要になるのですが、ワインコンクールで金賞を獲ることはステップを短く出来ると考えてます。出品には1回に15万円以上かかるので出来れば数回のうちに獲ってしまえたらいいなと思います(笑)。

ラインナップは世界に通用する高品質なものとコストパフォーマンスの高いお手軽なものも作ります。お値段は2200円でも価値は3500円以上のものになると考えてます。美味しくて安いのですから当然、売れるようになるわけですが、これが2000本がささっと売れて品薄となり、次年度は4000本、6000本となれば委託醸造代金も600万円、900万円と上がっています。

そこで私はワイナリー設立を考えます。年間900万円を3年間委託醸造台に使うくらいならその2700万円で十分6000リットルを仕込めるワイナリーを建てられるからです。なので今はともかく良い葡萄をつくり、おいしくて手に取ってもらえるワインを作ります。そしてそれはおそらく私のやり方なら実現出来ます。

品種は白品種はリースリング、ケベルツ、ピノグリ、シャルドネ、ミュラートゥルガウ、ケルナー、シュナンブランetc
黒品種はメルロー、ピノ・ノワール、ネッビオーロetc

メインは決まってますがいろいろ試してみて良かったものから穂木を獲り、その子供を増やしていきます。そこからまた良かったものを選抜して選抜して。先の長い話になりますがこの土地で合う品種を50年計画で探し当てていけたらと思います。

最後に、おいしいワインを作ろうと今までになく本気で勉強し続け、熱く将来を語る私を見て、7歳の息子が2年生最後の授業参観で発表してくれた作文を紹介します。この言葉をもらえただけで、もう成功だと思ってます。私はとてもしあわせです。

彼の世代には私が作るものより更に進んだ一歩先のワインが飲めることでしょう。
彼が大切に思えるような圃場を、ワイナリーを夫婦で作っていきたいです。

以上、ご清聴ありがとうございました。

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