2017年12月26日

「30年後に貸してください!」

今日、ワインブドウを栽培する長和町和田の日向圃場のゴミを拾いに歩いているときにご婦人と出会った。「こんにちわ!」と元気よくお声をかけると、「下和田の阿部さん?」と。なんでも月一で和田小学校に絵本の読み聞かせに来られている方で、小学校3年生のうちの子のこともご存じだった。(とても背が大きいと思ってたらしい)

お話を聞くとその方はここの畑で花を育て、それを和田保育園の園児に見せているとのこと。そういえば春ごろにここの畑できれいな花が咲いていたかも。

だけど周りがどんどん遊休荒廃地だらけになってしまい、お隣の畑も3mを超すカヤとススキだらけになっていよいよそれが自身の畑にも覆いかぶさるようになり、もうお花を育てるのを辞めようかなと思ったりもしていたそう。でもそんな折、先々週のワインブドウ圃場の草刈作業で周りがきれいになったと。

それでうれしくなってまたお花の栽培を頑張る元気が出たとおっしゃってくれました。だから応援してるって言ってくれて。ありがたいなぁ。単純な男なのでこんな言葉で十分元気が出ます。

ただ、ここから笑ってほしい話なのですが(笑)、実はこの隣の私の圃場は通称「T字の畑」(一番下の写真の左下あたりの農地)。とても変な形になっている畑です。 普通の専業農家ならこんな形の畑では果樹はやらないでしょう。作業効率もみてくれもとても悪いからです。(そもそも借りてない農地を通らないと畑に入ることすらできません。)

もしこの畑を貸していただけるならTの字の左側が埋まるので、少しましになったのです。ははは。…でも、仕方がありません。私が「30年後に貸してください!」と伝えたら笑ってました(笑)。

大規模な草刈作業後、数十年もほっておいた自分のススキ畑を草刈りをする人も現れました。よくもわるくもワインブドウを作るというアクションで日向地区が動き始めました。人が動けば人が動くんです。それはとてもいいことです。

奥さんが毎日作ってくれるお弁当。感謝。

・未相続や声をまだ役場がかけてない農地を借りなければ…

ところで、私が小さな飛び地ばかりで果樹を栽培することで迷惑がかかるのは私の家族です。狭くて小さな畑で栽培をすれば、当然手間ばかりが増えてしまい、私が家に居られる時間が減るし、結果、収益も落ちるでしょう。本当に申し訳ない。。

でも、謝るよりも先にやるべきことがあります。役場が未相続だから借りられないだろうという農地がたくさんあり、それが私の圃場を歯抜けの飛び地状態にしてます。なので自分で動いてそこを借りられるように動いていきたいと思います。

未相続の農地を借りるにはどうしたらいいか、分かる方、アイデアのある方、どうか教えてください。借りるにはご兄弟の過半数の印鑑が必要とのことですが、私には未相続の農地のご兄弟の連絡先が分かりません。 私の家族の一生がかかってます。どうか、お願いします!
くどいけど私の農地は青線の左側の赤い部分です。なんとかしなきゃ!



2017年12月20日

具体的な2ヘクタールの農地が決定しました。いよいよ!

こんばんわ。長野県のぶどう農家、阿部たけしです。

本日、具体的な2ヘクタールの農地が決定しました。うれしい反面、いよいよ始まってしまったかという感じです。これから春の植えつけまでの間にバックホーを使って畑のでこぼこを直したり2つの小さな畑をくっつけたりの作業が始まります。 チェンソーで切らねばならない木も数えきれないほどあります。武者震いしますね。ぶるぶるっ、ほらきた!

写真上の地図の真ん中の青い線から左サイドの赤い部分が私の畑になりました。

私担当の通称スカスカエリアは役場の方や中間管理機構さんが頑張ってくださったのですが、結果として借りるに至らなかった農地が多く、合計すれば面積は2ヘクタールありますが、思い切り飛び地(隣接していない離れた農地)です。

今後借りられるかは運次第で、この先借りられるかの保証は一切ありません。移動も大変だし栽培の手間も時間も余計にかかるでしょう。しかしながらいろいろ考えて以下の理由で決めました。


1.東京から夢を追いかけてワインを造りにやってきて長和町を選んでくれたN嶋さんを、農地が手に入らないというくだらない理由で苦労させたくないから。

1.しっかりとエリア分けすることで農薬のドリフトの問題などが無くなるから

1.最後の日曜日、家族に圃場を全部見てもらったのだけど、奥さんが「ここでもいいよ」「私も借りられるようにあいさつ周りでもなんでもする」と言ってくれたから。

1.息子も継いでくれると言ってるし、20年もあればなんとかまとまりそうな気がするから。

そもそも。この日向圃場は、全ての畑がいい感じの南向きの傾斜であることに加えて、風も一定方向から吹き抜けます圃場全体が標高800mの山の斜面にあるので水はけが悪いわけがありません。どこをとっても良い畑のはずです。

いよいよ畑が決まったので造成計画や植栽計画を進めたいと思います。忙しくなります。どうぞ応援ください!


2017年12月18日

日向地区の草刈が終わりました

おはようございます!長野県でワイングロアーを目指しております、ひとよんで「長野のジェダイ」、通称「長野県の若杉友子」、または通称「自給自足のあの人は今」、阿部健史(あべたけし)です。

 寒冷地で果樹を育てるための必須作業、ワラ巻が完了しました。今年は100本程度ですが高品質なワインブドウ栽培では密植栽培で本数が多くなり、とても手間と時間のかかる作業になります。だってこれが10000本になるんです。…ワオ!

 
 そして12月11日から4日かけて業者にも入っていただいて日向圃場の草刈を行いました。20年以上も放置され、カヤ(ススキ)と雑木が林のようになってしまい、入ることすら出来なかった合計6.9haの壮大な遊休荒廃地。今回、草刈が出来て景観もよくなりました。おお、こんな風景が広がっていたのですねー。

機械で刈る様子。大型機械はパワーが違いますね。おどろいたのが21世紀の草刈は無人で動くものもあるようで、巨大なラジコンを操作するように遠隔操作で草刈してました。あぁたまげた。



付近住民の方からは「散歩するたびにカヤが嫌で嫌で」「不審火もあったので草が無くなってホッとした」「初めて向こう側が見えた」との声をききました。考えてみれば、遊休荒廃地はシャッターの閉まった商店街。自分の農地がこんな風になったら確かに嫌ですもの。

そんなわけで長和町日向地区の4ヘクタール分の草刈が完了しました。これで石垣も見えたので全体像が見え、研修生ふたりで農地を振り分けることが出来るようになりました。これから死ぬまで作付けすることになる畑です。お互いに背負っているものがあり人生と運命のかかっているので妥協は出来ません。とっくみあいのけんかにならないようにしっかりと話し合って決めたいと思います(笑)。


研修生仲間のシニアソムリエのNさんの背中。



2017年12月9日

不審火のご報告とお願い

 備忘録と町内外の友人たちへ現状をお知らせするために書き残します。
(写真は撮影していただいたワインブドウ作り仲間の中嶋さんのブログから抜粋)

・第1の火災(2017年12月3日(日)午前中)
2017年12月3日の日曜日、長和町和田の和田保育園の裏120mで火災がありました。現場にいた消防団の方の話だとヘリコプターからも放水し、結果2ha~4haが焼失したとのことで近年の消火活動の中でもかなり大規模なものだったとのことです。


火の気がないところからの不審火とのことで放火、またはポイ捨てタバコの可能性が高いと。現場近くの和田保育園はたまたま逆の方に燃え広がったから園は無事だったものの、子供心に傷が残った子もいたのではないかと。子供達や先生方の気持ちを想うと心が痛みます。うちの赤子だって3年後には通う保育園ですし、3年前までは長男も通っていたのですから決して他人事ではないのです。

そして更に、この辺りは私とN嶋さんがワインブドウを栽培するエリアなのです。なのでもうこの段階で「もしかしたらこのエリアの遊休荒廃地をワインブドウ畑として利用するプロジェクトに反対する誰かが放火したんじゃないのー?」なんて話をする人がいらっしゃいましたが、内心私もそれは頭をよぎってました。(実際、私たちに対してあからさまな態度をしてくる方もごくごく少数ですがいらっしゃるので…)


・第2の火災(2017年12月7日午後13時前後)
 第一の火災からわずか4日後、2回目の火災が起きました。近くだから見に行ってみるといいよとの役場の方からの助言。大丈夫でしょうと思いながらも4日前に火事があったこともあり、大事をとって現場に行ってみてビックリ!燃えてるのはうちのシャルドネ畑のとなりじゃないですか!!おいおいおいおいおい!


うちの鹿避けネットが一面ですが焼けおちて、場所によっては畔が5mほどですが炎が入り焼けてました。広がりが遅かったのは秋に草刈をしていたことが良かったと思われます。

発見してすみやかに通報してくださったJAの方(流石、頼りになります!)には感謝しかありません。通報があと10分でも遅ければ、言い過ぎではなく本当にうちのシャルドネ畑は燃えていたでしょう。(草刈りを秋にしっかりしておいたので大丈夫だった可能性もありますが)


お隣の畑(遊休荒廃地でススキだけの畑)は全焼しました。

これが現在(12月9日現在)までの報告です。今、とても不安な気持ちです。まだ燃えてる自分の畑を見たとき、成木になった数年後にまた燃やされるイメージが湧いてしまい、それが頭から消えません。しばらく現場を見たくないです。

もし放火だとするならば、、、。犯人の方、どうか気をお沈めください。もしワインブドウ栽培に反対であるならその意志表明をしてくださいませんか?私は誰かに「こんなこと」をさせてまで、ワインを作るべきだとは思いません。どうか前向きに話しあいできませんか?

火事は子供の心に深い傷を負わせます。だからもうこれで終わりにしませんか?
お酒が飲める方であるなら数年後に出来上がった最高のワインを差し上げますし、 飲めない方ならブドウ畑に来ていただけたら生のぶどうを差し上げます。町の子どもたちが誇りに思えるような畑が町内に出来ることは決してマイナスではないんです。

子どもたちの笑顔のために、どうかどうかお願いします。
そしてもし煙草のポイ捨てだとするならば、ポイ捨てはもうやめましょう。かっこ悪いし汚いし、関東じゃ罰金ですよ。燃やしちゃえば放火と同じですからね。

長和町 ワインブドウ栽培家 阿部 健史