2017年10月29日

くずリンゴがゴミにならない生き方をしてます

研修先の会社が管理しているりんご園(東御市)
こちらは東御市内のりんご園。台風の被害で数えきれない量の数がりんごが落ちてしまいました。今年はただでさえ雹害(ひょうがい)で傷リンゴばかりだったんです。そこに台風の追い討ちですから目も当てられません。JAのはからいでまだ完熟してない落ちリンゴですが買い取ってもらえることになったので拾い集めることになりました。


台風で落ちたりんごを拾い集めたコンテナ

それにしても1コンテナでたったの300円程度にしかならないというのです。加工用の買取額の安さたるや、、絶望的です。軽トラ1杯に詰め込んで6,000円。これまでかけてきた手間や農薬代を考えれば大赤字です。

そして更に衝撃的な事実。。 
実は上の写真のコンテナに詰められたリンゴは加工用でも買い取ってもらえないゴミです。 どれだけ小さくても生傷があると加工用でも出せないのです。つまりどれだけあっても価値はゼロ。バックホーで穴を掘って埋めて捨てるとのことです。

農家のこと、そしてただ捨てられるリンゴのことを思うと可愛そうで心がズキズキ痛みました。そもそも台風がなくても虫や落果で落ちた屑リンゴは相当な量になります。

私なりのアクション。自給自足生活だから出来る循環。
せめて食べられれば報われる命もあるだろうと考え、私は毎年くずリンゴやくずぶどうを大量(60コンテナほど)もらってきて鶏と山羊にあげてます。虫がついても鶏なら喜んで食べてくれます。彼らが食べたリンゴは糞になり堆肥となり、土に還ります。この堆肥をワインブドウの畑に戻せたら面白そうなのですが肥料過多になるのが心配で方法を考え中です。


そうそう、今日は頑張って前からやりたかった瓦のずれ直し作業をしましたよ。家の数か所で雨漏りが出ていたのだけどずっと毎週末雨で直せないでいました。なので今日は小雨が降っていましたが強行!雨の日の瓦作業、特にコケが生えてたりすると信じられないほどよく滑るので絶対に真似しないでくださいね。

結果、現在ザーザーと雨が降っておりますが、雨漏りは治ったようです。(やったね!)。その道のプロに頼むのも手ですが、腕の良い職人さんを呼べば1日3万円ですし、成長も出来ません。経験を積むことで私は体重が74kgありますが瓦を割らずに歩くことが出来るようになりました。ポイントは「体重を3点で支えること」と、「重なってる部分を踏むこと」です。


家も少しずつ良くしていこうと思います。


2017年10月21日

家族みんなでナイスなブドウ農家になります

長野県が開催していた有機農業基礎技術講座の全講義を受け終わり、卒業証書を頂きました。

有機栽培に特化した講座に参加できる!いうことで持続可能な栽培を目指している私としてはガッツポーズが止まりませんでした。快くいかせてくれた研修先の信州うえだファームの船田常務には大変感謝しております。ありがとうございました!

授業内容は具体的には有機農業基礎知識、土壌の基礎知識、病害虫とは、農薬による防除と物理的防除、フォロモン剤、農産物加工、雑草の防除、農業経営管理、土壌診断の利用法などなど。
有機農業基礎技術講座での土壌分析の様子
ワインの世界ではどうも軽視されている健康志向(※)ですが、私は味と同じくらい、安心と安全には価値があることだと思ってます。消費者の人も出来るだけ減農薬を求めていると肌で感じているし、消費者に出来るだけ安心安全なものを届けたいという気持ち&努力なくしていいものは作れないと考えているからです。(実は味に関しても農薬を使えば使うほど良くなるとは思えず、逆に農薬が出来るだけ少ない方が本来の味わいが出るのではないかと考えてます)

なので有機認証も視野に入れるわけですが、、、当然栽培のハードルは上がりますし、更に長い道のりになってしまうことでしょう。リスクもあるし認証には多額のお金もかかりますし。でもワインは作り手の考え方や生き方がその味に表れるお酒です。自分らしくやるしかないしそれが一番いいと思うんです。


8歳息子は今日(2017年10月20日)、寝ている生後二か月の赤子(名前:アル)の寝顔を前に、「アルが大人になるころには僕達でブドウで成功してようね」と言ってくれました。この子達こそ、私の最大の強みかもしれません。だってこの子たちのおかげで65年後に樹齢65年の樹でジュースやワインが作れるんですから。畑での作業自体が家族だんらんになるのですから。

乗用モアにまたがってみた8歳息子。愛してるぜ!


先日も、畑に行くというと一緒に行くと着いてきて手伝ってくれました。
奥さんの由紀ちゃんもラベルデザインを考えてくれてます。
家族みんなでナイスなブドウ農家になります。



※有機栽培のワインは軒並み安価であること。そして酒屋さんにならぶビオロジックワイン(有機栽培ワイン)はどうしてか大抵、美味しくないものばかりであること。私が感じている限り、ワインは安心安全より味で評価される傾向にあるので。

生後72日の次男。首がすわりました。はいはいももうすぐ。成長してます。


2017年10月16日

研修先の畑で最高のシャルドネが出来る予感です

秋の収穫ラッシュ。農業やっててよかったなと思える季節です。
自分の収穫物だったら最高なんですけどね、まだ他人様の葡萄なんです(笑)。

東御市サンファームのシャルドネの樹
ワインブドウ栽培で一番勉強になったのは研修先の信州うえだファームが管理する東御市のサンファームのシャルドネの樹でした。25年級だという老木、広い畝間、1.2m~5mの自由な樹幹。剪定や摘果、除葉、農薬のかけ方などをいろいろ試してみて、どう育つのか、どんなブドウが出来るのか、この2年間見守り続けました。

そして今年、黄金色にまで熟した粒の糖度はなんと22.5越え。それでいて酸もしっかりと残ってます。2017年は天候に恵まれた年ではありますが、この収量でこの品質。ぶどうの粒を食べ比べることでただ糖度が上がってもだめで酸が残ることの重要性も理解出来ました。

今年、この畑で栽培方法の一つの成功例を見た気がします。そしてうれしいことにこのブドウを買い取ってくれたワイナリーさんがここの葡萄だけを使ってワインを仕込んでくれるとのことなのです。このワインを飲むことで決定されることがいろいろあります。とても楽しみです!


長野県長和町五反田圃場
さて、長和町の試験圃場である「五反田圃場」の支柱立が2週間前からスタートしました。

町内在中のシルバーさんと一緒に1日25本から30本の支柱をエンヤコーラと立ててます。1日にそれしか出来ないのは「外柱も中柱も90cmまで埋める」、「中柱にもアンカー」、「外柱には筋交いもつける」などのワインブドウ畑の垣根式の支柱としては県内トップクラスの設計だからなのですが、それ以外にもこの畑に場所が少し掘ると巨大な石がゴロゴロとでてくること、そして少し掘ると水が噴き出すことがあげられます。
  
この圃場に植えられる品種はコンコード250本、ナイアガラ250本、シャルドネ250本。これが生食用ではなく、ワインブドウ用として育てられるのです。

今の所、コンコードを買い取ってくれるワイナリーが見つからないこと(※)と、通常棚栽培されるコンコードとナイアガラを垣根で密植栽培していいものが獲れるのだろうかという心配は大きいのですが、町が盛り上がるというなら、全力でお手伝いをしたいと思ってます。(もちろん、自分の畑では最高のワインで町おこしをしますよ!)

贅沢な支柱をバックホーで90cmの深さに埋めていきます。
ちなみに東御市ではコンコードの買取価格はワイン用ブドウ品種の半分以下、というより、2/5です…。どこか高く買ってくれるところがありましたら是非ご一報ください!お願いします。


※ちなみにワイナリーがアメリカ品種の買取を断る理由は以下の通りでした
1.アメリカ品種は粒が大きく欧州系のブドウ用のプレス機や破砕機が詰まって大変だから
2.アメリカ品種のワインは安くせざるを得ないし売れないから
3.アメリカ品種は特有のキツネ臭があるのでタンクから匂いが消えなくて困るから

2017年10月1日

2017年はビッグビンテージ!あちこちでワインぶどう収穫です!

あべっちです。収穫の秋、大好きな季節です。暑すぎず寒すぎず花粉症もなく、畑に居てもとても気持ちがいいです。


写真はあちこちで収穫のお手伝いをしたりしていただいてきましたワインブドウです。さて、突然ですが上の3つの葡萄の品種、分かりますか?品種による見た目の特徴ももちろんありますが、それと同じくらいクローンや樹や樹勢や房ごとで違いが出るので見た目での判別は一苦労です。正解は左からシャルドネ、ピノノワール、シラーになります。それにしてもピノノワールはひときわ小さいですね。

 こちらは隣町で収穫のお手伝いをさせてもらったリースリングです。もう収穫出来るなんてうらやましい。リースリングは病気にとても弱く雨の多い日本では栽培は困難だとされてますが、豊かで幅広い酸を持っており晩熟、しっかり熟成させることが出来れば可能性のあるブドウだと信じてます。

今年は去年のような9月の長雨がないせいでどの圃場でも病果が少ないです。今年はいわゆる「ビッグビンテージになる年」なのですね。5年後10年後にも「2017年は良かったなぁ」と話すのでしょうね。私も現場にいた人間としてそれを話せるのはしあわせなことです。

こちら収穫したシャルドネとリースリング。熟度などが分かっているだけにこのブドウがどんなワインになるか楽しみです。出来たワインを飲んでみれば自分の作りたいワインにまた近づくことが出来るのですから!

そんなわけで私の葡萄が売れるまでの間は数多くある飲みたい日本ワインを飲むためのお金の確保が一番の課題だったりするのでした(笑)。

ではでは、全ては農作業の後のおいしい1杯のために。