2017年2月25日

2017年02月23日(木)新潟県ワイナリー視察研修

長和町のワインプロジェクトのメンバーでお隣の新潟県のワイナリー視察へ。胎内市の日本唯一の市営のワイナリーを見たかったという経緯からN島さんが企画から予約まで準備を頑張ってくれて実行の運びになった。

私としては1年程度の研修でワイナリーを立ち上げていく新潟市のカーブドッヂとその周辺ワイナリーにも興味があった。なにせ長野県あたりで聞けば醸造経験は2年、いや3年必要という話。私とN島さんがワイナリーのないここ長和町でどうやってその醸造経験を積むか、もしくはどうやってそこをクリアするかが実は一番の課題。なのでぜひお話を聞いておきたい。

長野県は雪が少ないとは聞いてたものの!トンネルひとつくぐったらあらまぁ!めっちゃ雪が積もってるじゃないですか!9歳まで新潟市に住んでいたのだけどあのときの「朝起きたら雪で玄関が真っ暗で開かなかった記憶」は本当だったかもしれないと思った。

まず国内唯一の市営の胎内ワイナリー。(ちなみに工場見学も受け付けてないが、今回、町の視察ということならということでご厚意で見学させていただきました)。醸造が役場の方ということでこういうパターンもあるのだなぁと。

こちらは4年間連続で赤品種のツヴァイゲルトレーベが日本ワインコンクールで入賞しており(2016年は銀賞)、全く広告費をかけなくても売れるようになったという。

試飲させていただいた2014年の樽熟成ツヴァイは果実味があり、樽熟なれどもやりすぎず、切れのある酸が印象的。セラーではなく常温で飲みたい1本だった。

栽培と醸造担当のSさんとは所見だったのだけど「栽培についてもっと高みを目指したい」という雰囲気をお互いに察して栽培の話で盛り上がった。反当り400kg~500kgのきつい収量制限、健全に育ってきたため硫黄合剤とボルドーだけになった減農薬の防除、賞の受賞も当然の結果と言えるかもしれない。

Sさんは栽培に関して私のどんな質問にも答えてくれた。「東御市の千曲川ワインアカデミーで勉強中です」の一言で火がついて、逆に私がアカデミーの先生方に関する質問に答える場面もあった。やっぱりネームバリューがあるかもアカデミー。小山田先生、有名ですよ!

新潟市カーヴドッヂのレストラン入口

次のカーブドッヂでは忙しい中、現社長にお話を聞いた。勢いのある方はトークが違う。実は新潟は生まれ故郷なので大いに盛り上げていただきたいと目を輝かせて聞いてしまった。

圃場の支柱は木製だったのだけどやっぱりそのほうが見に来たお客さんは素敵だと言ってくれるだろうな、と。素敵な空間なくして応援なしなのだ。そしてこれが聞いていた砂地の土壌だ。水はけ最高だし、風も強いために防除回数も減らせる&雪が多いのでワラ巻不要。これに対して長野県は粘土質土壌で酸がよく持って雪が少ない。どの地域もデメリットもメリットもあり、その違いがあるからこそテロワールが生まれるわけだ。面白いですね、ワインって。

雑貨も販売、ワインボトルのラベルもかわいい感じ。
お次のフェルミエさん。おしゃれな建物、理想的です。
カーブドッヂのお隣の敷地内のフェルミエさんではスペイン品種のアルバリーニョに力を入れてるとのことで数種類を試飲させていただいた。川沿いの圃場と海沿いの圃場で取れたものや全房プレスやマセラシオンしたものと比較。収穫だったのはアルバリーニョが完熟しても酸をしっかり持ってる品種だということ。私は長野県ではやらないけどもこれから人気の出る品種かもしれない。

今回の研修では栽培に関する新情報は少なかったものの、それ以外の収穫は多かった。やはりおいしいものを作らなければ苦労するという現実、お客さんにワイナリーに来てもらうこと、その時にしっかり魅力を伝えること、品種は選ぶ必要があること、ラインナップの重要性、値段設定などなど。

今度は家族で新潟のワイナリー巡りをしたい。そのときは私のワインを胎内ワイナリーのSさんに持っていこう。

今度の3月3日(金)、15:00から長和町でワインのキックオフイベントがあります。内容はワインと料理を楽しみながらこれから長和町がワインで盛り上がっていくことを付近住民の皆様に知ってもらいたいというもの。スーツ着用で1時間半のパネルディスカッションありということで緊張しそうだけど、自分のワイン作りの想いを半分でも伝えられたらと思います。

2017年2月22日

2017年2月22日(水)アカデミー最後の授業ありがとうございました。

今日の授業はドメーヌ小山田の小山田先生。以前、実際に畑での動きを見たときに「達人」と呼んでも良いレベルだと肌で感じた。おいしいワインを作ることばかりを数十年も考えながら経験を積み上げきた人は思想が、動きが、知識が違う。

 ここ一週間の連日の剪定の講義もとても勉強になった。今年ワイナリーを建てる予定の先輩、JAの技術指導員、そして小山田先生。先生方から三者三様のやり方を学ぶ。いろいろなやり方の中からちょっとした話の中からヒントになることは多くて。自分や地域にあったやり方を探し当てていきたい。

小山田先生の剪定の実習では外でギヨ・ダブルの剪定をひとりひとりが先生の前で実践。私もいろんな圃場での研修や講習、各ワイナリーなどで経験を積んでるのでそれなりの知識もついてる。だから気づける「気づき」があってそれが勉強になる。

そうそう、以前、先生が言っていたからノートに書き込んでいたことの意味が今、分かったりする。これまでいろんなところで仕入れてきた情報の裏付けが出来たり、また謎が生まれたり。早く始めてこの考えがどれだけ合っているのか答え合わせをしてみたい。

苗木作りも進んでて今日はアカデミーでの苗木作りの講習も受けた。実践ですぐに使える細やかなテクニックがありがたかった。

台木は来週、101-14を研修先の信州うえだファームが手配してくれた試験場やらへ取りに行く予定。テレキ5BBがご入り用なら廃棄されたのを頑張って運んできたのが土間に10000本分ほどあるのでお声かけください(笑)。

穂木もなんとか集まってきた感じ。後はメルロー2000本とリースリングが800本欲しい。ケルナーとネッビオーロを託してもらえる話があるのでそこにも期待したい。手に入らない品種はそれはそれで運命かもしれない。逆にご縁で手に入った品種には運命染みたものも感じるのは都合がよいだろうか。でも前向き思考って大切だよね。

手に入れた穂木を埋めるための穴を掘っている仲間。石も持ち上げます!
ピノ・ノワールはN島さんが手に入れたのだけど少量で仲間で分けるくらいの量はなさそう。N島さんが最初からピノをやりたがっていたのを車の中で話しててよく知ってる。彼に「一番好きなワインは?」を聞くと必ず「ピノ」と答えるのだ。私のピノチャレンジは数年遅れてもいい。大切なのはひとりの仲間。それに私にはリースリングがある。そう、これもまた運命なり。

千曲川ワインアカデミーの授業は今日でおしまい。あとは卒論的な発表の日があって、最後の卒業式へと続く。個人的にここまで勉強し続けた日々はなくまさに青春の1年でした。ありがとうございました!

2017年2月16日

2017年02月15日(水)千曲川ワインバレーに恋したワインアカデミーの授業はミサワワイナリー雨宮先生とメルシャン安蔵先生


この月曜日は千曲川ワインバレー恋するワイン会というイベントに参加させてもらいました。千曲川ワインバレーの「各市町村のワイン」と「ワインに合う本当においしい料理」がずらりとならぶ、たのしく美味しいワイン会。長和町の料理もワインもすべて完売、うれしいなー。

同い年で元SE関係のお仕事で自然派で家族経営、やたら共通点が多いということで勝手にあこがれている東御市のドメーヌナカジマさんともお話出来て大満足。カベルネフランも美味しかった。ワインが出来たら送りつけるので飲んでくださいという得体のしれないお願いもしてきたし、思い残すことはもうあまりない。

ここでワインプチ情報。日本でワインが飲まれてます。2014年現在の国税局の調査ではここ30年の国内のお酒の消費量では清酒が42%に減少しているのに対し、ワインは566%まで増えてます。2019年のデータでは更に倍増していることでしょう。ブームではなくお酒の時間を楽しみたい男女に定着してきているのです。

そしてこの火曜、水曜のアカデミーの授業は中央葡萄酒ミサワワイナリーの雨宮先生とメルシャンの安蔵先生が講師。お二方とも著名な方々で本で名前を何度も見かけていてイメージはあったのだけど実際にはどんな方なのだろうと思いを巡らせていた。

まずは中央葡萄酒ミサワワイナリーの雨宮先生。樹勢の強い甲州種を雨の多い日本で垣根栽培して成功した経緯から私はミサワワイナリーに大注目していた。

大注目のミサワワイナリーの前で2017年2月5日
実は今月頭に仲間たちと一緒に何か1つでも勉強になればと山梨の明野まで例の圃場を見に行った。ええ、ワイナリーは冬季なので完全に閉まっておりました。

実際に授業でお話を聞くとシャイそうながらもきさくでとにかく経験豊富。実践経験からくる醸造の話はワイナリー開設時にすぐに使える技をいくつも紹介していただいた。ご自身が授業の前に「皆さんをライバルだと思ってます」と宣言されていたのにありがたい話だ。なにかお礼しなきゃと思ったくらい。

授業後に栽培に関して気になっていた点を質問してみた。明野の12haの圃場では高畝を採用してなかったからだ。ズバリ「高畝はどうなんでしょう」とぶつけると高畝には樹勢を抑える効果は期待出来ない、と。おおー。ふむー。ゲゲゲ!やれやれ1つ困ったぞ。

二日目の安蔵先生はウスケボーイズにも登場する知らない人は居ないだろうというメルシャンの重鎮。フランスメドック地方のシャトーレイソンでの経験談をいろいろ話していただいた。ボルドーでも暗渠排水をガンガン入れてたなんて。テロワールとは人間が作り出すものだったんだ。

質問コーナーでも気になっていた仕立ての高さ問題をテーマに出してくれ(これはおそらくN島さんが授業の前に質問していたから)、参考にさせていただいた。

外国の圃場のキャノピーは軒並み低い。
外国のキャノピーはどうして低いのか。どうして日本では高いのか。見晴らしわるくてかっこ悪いじゃないか。だれもやってないならチャレンジするのかしないのか、帰りの車の中でもN島さんとの議論は続いた。

まだ植えても居ない、私なんぞのために知識を分けてくれるお二方には私のワインを飲んでほしいなと思った。きさくな方はとても好きだ。

アカデミーのお仲間たちの存在もありがたい。特にもう先陣を切ってぶどうを育てている先輩の話や助力はとてもありがたく。私も力になりたいと思う。だから力をつけたい。5月から始まったワインアカデミーの授業も3月で終わる。それまでにしか出来ないことを今は一生懸命にやります。


そんなわけで現状報告!
現在、欲しい穂木(剪定枝)を探し回っております。白:リースリング、シャルドネ、ケルナー(またはミュラートゥルガウ)、ピノ・グリ、ゲヴェルツ、竜眼。赤:メルロ、ピノノワール。この他、試したいのはシュナン・ブラン、シラー、ネッビオーロ。剪定枝をゆずって頂けるかが勝負です。いくつかは手に入りました。諦めず探します!

2017年2月2日

2017年02月01日(水)自然派ワインテイスティングとワイン会


今回テイスティングした自然派ワイン。どれも個性的。
1月31日のワインアカデミーの授業では北海道は函館(うちの実家あり!)の農楽蔵さんがワインのオフフレーバーを勉強するために集めてくださった9本の自然派ワインをテイスティング。

なんという個性、なんという主張。中には強烈な馬小屋の匂いがするものも。それもワインの楽しみだったりそれを数年寝かせると美味しくなる可能性もあるとのこと。ワインの世界は奥が深い。ともあれ、今は自分が造りたい味や香りのワインを探すのみ。

ところで自然派ワインとは日本では定義があいまいなのだけど、今の所、「化学肥料を使わない、化学農薬を使わない減農薬栽培、無農薬栽培、醸造時に野生酵母で発酵させる、酸化防止剤を少なめに使う、もしくは使わない」このどれか1つでもやってれば自然派となるみたい。

うちも栽培に関してはこれまで同様、化学肥料は使わないし、なるべく農薬の使用量を下げていく努力をしたりしていくわけだからどちらかと言えばジャンルとしては自然派になるなのだろう。でも味わい的に酸っぱいのは苦手なので嫌だなぁと。分かりやすくエクセレントなのを作りたい&飲みたい。
テイスティングの授業の日は車を運転できましぇん、というわけでお泊りワイン会に発展します。一人1本のワインを持ち寄ってワインに関係ある話やない話で盛り上がる。みんなそれぞれにストーリーがあって今ここに居る。わたしだってそう、美味しいワインの作り手になるためにここに居る。

今回登場したワインはこんな感じ。日本のリースリング、フランケンのシルヴァーナ、東御市のドメーヌ・ナカジマさんの巨峰ナチュール、城戸さんのワイン、高校生が仕込んだワインなどが飲めて個人的にとても内容の濃いラインナップだった。

都農のキャンベル・アーリーの赤いスパークリングなんて若い女の子は目をハートにして喜ぶし売れそうだけど、私はリースリング飲みたいなぁなんてドイツやフランスのアルザス地方に思いをめぐらすような大人の女性に興味がわくだろう。なんちて。

ぶどうの台木をGETしました。いよいよ来月からの苗木作りの準備がスタートです。こちらは台木用品種のテレキ5BB。樹勢が強く寒さにも強いので生食ブドウではまずこの台木が使われてます。ワインブドウでこの台木を使うと樹勢が強すぎて苦労することになるので使う品種は慎重に選びます。台木や苗作りの話はまた後日。

奥さんも毎日いろいろ手作りしてくれてる。外は寒いけど日々を楽しんでます!