2011年7月16日

安心な果物を皮ごと食べたいから果樹も作ります

7月13日に私がロケットストーブで調理した料理。自家製野菜がいっぱい♪

あべっちです。
突然ですが私,果物が大好きです。
しんじられないかもしれませんがお寿司やサーロインステーキよりも好きでして。
そんなわけで今回はどうして私が「果物を作りたいと思ったか」の話をさせてください。


「りんごは皮と実の間に栄養がたっぷりあっておいしいんだよ」

親にそう教えてもらったときから,私は林檎の皮を剥かないで食べるようになった。
皮ごとたべることで歯も鍛えられるような気がしたし,皮を剥く手間も無い。
また,包丁の匂いがうつることもないし皮の処理にも困ることがないし,
なにより無駄が無くて美味しかったからだ。


子供時代を通じて親がいつでもバスケットに果物を買いそろえていてくれていたので,
私はずっと,果物はお菓子よりも安いと勘違いしていた。
オレンジやみかんなら1日5個,林檎や青リンゴなら2つ,西瓜なら半分食べた。
冗談抜きで,これを毎日続けていた。 今思えば家計を圧迫していたと思う。

時が経ち,1人暮らしを始める18歳頃になるとまた新たな情報が入ってきた。
果物の皮には農薬がしっかりと降りかかっているのでなるべく食べない方が良い。

これまで信じていた情報と真逆。でも今はそういう時代なのか,と納得した。
こうして皮ごと食べるという私の素敵な習慣は農薬使用の事実を知ることで終わった。

その後,1人暮らしを10年間続けたのだけど果物を食べる機会は減っていった。
見た目が綺麗でぴかぴか光っているのを見るとそれが農薬に見えて仕方なかったのだ。

更に時は経ち,何度か恋愛を経験して後,ワイフであるゆき坊さんと一緒になった。
食費を月2人で2万円と決めたことで外食は出来ないけど自然と手料理の数が増えた。

食べ物を無駄にしたくない,長く美味しく食べたい。
そんな生活の中で奧さんがよく作ってくれる有効な保存食がジャムだった。


左:苺ジャム 真ん中:オレンジのジャム 右:プルーンジャム
苺,プルーン,いちぢく…季節によっていろんな色のジャムの瓶詰めが並ぶ。
この中でとりわけ私が気に入ったのはオレンジやキンカンなどの柑橘類のジャムだった。


柑橘類のジャムは少しの手間ひまをかけることで皮も柔らかくなる。
皮ごとだから贅沢で,美しくて,そして美味しい。
太陽のような黄色い色,合成の香りとは全く違う自然な香りがあり,
得体の知れない添加物が一切入ってない気持ちよさ。だって手作りだもの。



このジャムを焼いてくれた丸パンにつけて食べる。おいしい!



…しかし,私はここで気が付いてしまった。気が付くと聞かずには居られない。

「このオレンジ,オーガニック(無農薬)だった?」

奧さんの答えはNO。農薬をしっかり使ったオレンジだった。。
オーガニックも探せば無いこともないけど,まず見つからないし食費2万円では買えないと。
…確かにその通りだ。うちの食費では1つ200円のオレンジには手が届かない。

皮まで食べる林檎とは違い,皮を食べない果物の皮の部分への農薬の使用量は半端じゃない。
そこへの農家の人の意識は当然ながら低いだろう。

ゆき坊さんが一生懸命煮込んで作ったジャム。この中に体に悪い物が入っているなんて。
自分なら我慢して食べればいいけど,可愛い我が子にこれを食べさせることが出来るか?
悔しさがこみ上げてきた。

こうなったときにみなさんならどう行動するだろうか。
1つ目の選択肢はオーガニックなものをお店で買い続ける。…しかし現実にお金が無い。
2つ目の選択肢は食べるのを我慢する。…そんなつまらない人生は嫌だし無理だ。

答えはすぐに出た。第三の道。単純明快でシンプルな選択肢。
そう,それは自分で作ってしまうことである。
無農薬の無化学肥料で作ってやろうじゃないか。そして家族で腹一杯食べて,
食べきれない分はジャムなどの保存食にして1年中楽しむんだ。

これが私が果樹も作ってみようと思った理由である。


ちなみに今,そらいろ農園ではきんかん,オレンジ,プルーン,すもも,
ブルーベリー,クランベリー,梅,柿,栗,林檎,柚などの果樹を植えてみてる。

桃栗三年柿八年。
まだまだ先の長~い話なのだけど,だけど3年後には栗が,そして
8年後には柿が食べられるのだから早く植えておかない手はない。


収穫量は少ないかも知れないけど,農薬を使うくらいなら収穫なんて無くてもいいのだ。
私や息子が安心して皮ごとかじりつける果物を作りたい。望むのはそれだけ。
駄目だったらまた来年。駄目だったらまた来年。いろいろ試しながら待ってみるつもり。

いつか収穫出来て自信が付いてきたら販売もさせて頂こうと思いますので,
その際にはそらいろ農園のおいしい果物もどうかお試し下さいね。

2011年7月13日

自然のありがたみを自分の畑で体感する

(長野で散歩中の私と息子。撮影はゆき坊さん)

ご無沙汰してしまっております,あべっちです。
福島原発事故以来,土を汚された農家として,また小さな子を持つ親として
毎日悩み苦しみ葛藤が続いてます。

今すぐに原発を止めたとしても,人類がまきちらかした放射線が無くなるのは
プルトニウム239の半減期を考えた場合,3%にまで減るのは12万年後。
気が遠くなるような年数です。刀持って歩いてた江戸時代ですら200年前ですから。

孫の孫の孫の孫の孫の孫の孫の孫の孫の孫の孫の代にも私たちが汚染した土や
水,海,そして大量の放射性廃棄物が残り,人間とその他の生き物を苦しめます。
だから今こそ脱原発を目指し,長い時間をかけて地球に罪滅ぼしをしていきましょう。

…なぁんて脱原発のことだけを書いていても前には進めません。
来年から家族が食っていくには今私がやってることを知ってもらうのも大切。
そんなわけで今回は週末に長野の畑に行って感じたことのお話をさせてください。

さて,私たちが買った長野の畑は標高700mの山の上。そんなわけで夏は最高にGOOD!
蚊が少ない環境のおかげで農作業を「Tシャツに短パン,頭には麦わら帽」という
関東では考えられないシンプルなカッコで出来るのが嬉しい。
ある程度涼しいからこそ,畑で頑張ってると家族が手伝いに来てくれるわけで。

シシトウとネギとマリーゴールドと背後の雑草。どれも輝いて見えた。

★今回がんばった作業は以下の通り。
・生物多様性を考えた簡単な草刈り
・夏野菜,果樹などに液肥と鶏糞などを追肥
・支柱立てと誘因
・トマトの根出しした脇芽の植え付け8本。
・ダイコン,ハクサイ,大豆,小豆などの種まき

今回もクワ1本の汗だくの作業だったけどそれぞれの作業で学びがあった。
内容が濃くて書ききれないので詳細はまた別の記事で熱く語りたい。

ともあれ,畑を見てみると・・・
地面にはアマカエル,バッタ,コウロギの赤ちゃんがぴょんぴょん。
空中では見たこともない綺麗なチョウチョが飛び交い,クモが巣を張りめぐらし。
畝つくりの時には土の中ではフトミミズもたくさん居た。

生き物といっても目に見えるやつらだけじゃない。
空気中や土中の微生物が自然の形で自然にそこに居ることが大切なんだ。
彼らは水や空気,そして栄養分まで補い合って共存してる。

雑草に埋もれていたバジルの葉っぱ。だけど1枚もかじられてないのが驚き。   

本に書かれていた「夢のような話」が自分の畑で再現されていた。
草ボウボウで植えっぱなし。だけど野菜はやられてない。
信じられない話だと思う。だけど本当の話。だから感動したのだ。

大きく育っていたピーマンもめちゃ綺麗。もちろんこれも無農薬で無科学肥料
千葉の畑で苦労してきたことが嘘のようにこちらでは解決している。
それを証拠に手間暇をかけてる千葉の畑の方が害虫にやられているじゃないか。

私は最初,長野の土が素晴らしいと思ったけどそれは違っていた。
土は肥えてなど居なかった。ミミズも大して居なかった。
ただ厳しい自然の中だから害虫が少ないというだけだったのだ。

全国どこでもどんな土でも,自然農は実現出来るだろう。
灼熱の千葉県なんて自然な農法が助けてくれることも多いはずだ。

日々勉強,成長の毎日。
もっとたくさん,もっと早く,規模の拡大,楽がしたい…そんな焦りや欲を取り払えたら,
本当においしい野菜を作るのは難しいことじゃないかもしれない。

そんなわけで頑張っておりますので,
私の人生そのものであるそらいろ農園をどうかよろしくお願いいたします。

収穫したししとうを使ったぴりっと辛い炒め物と収穫した胡瓜を味噌をつけてモロキュウ。

2011年5月18日

そらいろ農園が進む道

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(ようやく発芽に成功した山科ナスと固定種のステラミニトマト。夏に間に合うか!?)

そらいろ農園,園主のあべっちです。
今回は私たちが目指すそらいろ農園の進む道についてお話をさせてください。

来年から仕事を辞めて長野で専業農家になると言うとびっくりされるか笑われます。
目の前で気持ちが良いくらい笑ってくれたいじわるばあさんも居ます。
更に有機農法で,無農薬で野菜を作って販売すると付け加えるとその笑いも止まります。
(慣行農法の方には極力,言いません)

しかもまだ2歳の幼児が居て,家を買うために抱えた数百万円の借金があり,
修復に500万円は必要と見積もられた風呂も使えない雨漏りボロ古民家をかかえ,
もちろんビニールハウスや耕耘機もトラクターも農業資材も無く,
だめ押しは貯金が現在2万円(2011/05/18現在)です。

更には長年住んで奥さんと一緒にいろいろやってきた市川に比べると
長野県には最大の武器であるコネや友人もないわけで…。
温暖な千葉とは全く違う寒冷地で例えうまく野菜を作れるようになっても,
それが売れてお金になるかどうかなんて分からないわけです。

そもそも農業で食っていくってだけでも不安だらけなのに,今の私には
この家を快適に住めるまでに回復させるDIYのスキルもありゃしません。
そうですね,2*4材で簡単な置き棚が作れるレベルです。

こうやってまとめて書いてみると我ながら無謀だと思います。
プラスどころか0にたどり着くまでに何年かかることか。
正直,子供を高校まで行かせるお金を稼ぐ自信も完全にはありません。

…ただ。
こんな状態でも最後には成功し,夢は叶うと私は信じていたりします。
どうしてそんな風に思えるのかと思うでしょうか?

それは,私たち家族の成功がお金儲けではなく,その生活そのものだからです。

自分たちで手づくりした安心な野菜を使ったおいしい料理が1日3度の楽しみで,
私たちも子供も空気と水がおいしいド田舎で自然の恵みを体いっぱいに感じて生活する。
そんな毎日を送ることが私たち家族にとっての成功なんです。

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(先日,GWに長野の家の側で撮影した1枚。長野県長和町和田は水がとても綺麗です。)

貧乏だから毎日,一生懸命に働きます。借金返済までは外食も出来ません。
朝は太陽と一緒に目を覚まし,畑を耕しタネをまき,鹿やカラスを追い払い,
汗水を流して働くでしょう。暗くなれば眠くなり,風呂に入れば夢の中。

お金が無くて辛いことも多いでしょう。
1度や2度は辛くて泣くかも知れません。
だけど,それとは比べものにならない位に感謝と幸せがやってくると思うのです。

お金が無いからこそ,お客さんが出してくれる100円に,そしてそれと引き替えになる
自分が一生懸命作った手づくり野菜への感謝もふくれます。

田舎暮らしだからこそ,自然と手づくりが多くなって家族の共同作業も多くて,
家族一緒の時間が長くて会話が多くて笑顔が絶えなくて。

私は息子と一緒に鶏の小屋を改装したり鶏の卵を採ったりします。
嫁さんはその卵で毎朝,卵焼きを焼いてくれます。
その頃にはもしかしたら娘も誕生してるかもしれません。
その頃には山羊も仲間入りしていて山羊ミルクも一緒に飲めるかもしれません。

なんて夢を書き綴ってしまいましたが,5年後には,実現しちゃってるかもしれません。
そんな良くなるかも知れない,悪くなるかも知れない,明日をも知れぬ不安定な私たちの生き様を
どうか応援して頂けたらと思います。

つまるところ,そらいろ農園が目指す商品は「自分たちが安心して食べられるもの」です。
なにせ仕方なく農薬を使う農家さんも自分たちで食べる野菜は売る物と別に作ったりしてる時代です。
これが何を意味しているか分かりますでしょうか?…おっと,話が逸れました。

さて,長野への移住は予想だにしないアクシデントで1年先延ばしになりましたが,
長い人生,こんなこともあるのかと腹をくくり,こちらで出来る限りの種を蒔いてみてます。

そんなわけで頑張っておりますので,
私の人生そのものであるそらいろ農園をどうかよろしくお願いいたします。


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(ついに購入できた車「そらいろカーゴ」。いろいろ積めますっ)
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(ボカシ肥。手間と時間はかかるけど微生物たちが野菜のおいしさと健康を守ります)

2011年5月7日

この夏も一生懸命,野菜づくりします!

嫁さんのバリカンさばき1つで坊主っぽくなってしまったあべっちです。
いや~青空と風が気持ちイイっ!そんなお天気が多くなってきました。
個人的に千葉県ではこの4月~6月が1年を通して最高の季節だと思ってます。

さて,今回はここのところのそらいろ農園の活動のご報告をさせてください。
伝えたいことがたくさんあるんですよ~。まずは畑の現在の状況から。

■千葉県市川市の畑 ■■■
千葉の借りてるには,現在,こんな野菜が植えられてます。
収穫が始まっている野菜もあれば育成中や種を蒔いたばかりの物もあります。

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▼夏野菜
ジャガイモ,トマト,ミニトマト,ナス,キュウリ,ゴーヤ,
トウモロコシ,ズッキーニ,スティックセニョール,オクラ

▼豆類
つる有りスナックエンドウ

▼葉物
チンゲンサイ,コマツナ,ルッコラ,ハクサイ,ミニサラダ

▼根菜類
ニンジン,ミニダイコン

▼コンパニオンプランツ
ネギ,マリーゴールド,コリアンダー,春菊,カモミール

▼果樹
キンカン,梅,オレンジ(弱り気味)

→植え付けた4月30日の日記はこちら
http://ta.yukiboulife.com/nikki/2011/201104.html#2011.04.30

■長野県長和町の畑 ■■■■
先日、ゴールデンウィークの連休を使って夫婦で草抜き作業をし、
畝たてしてマルチ張りをして野菜の苗を植えたり、種を蒔いたりしてきました。
夏の間は長野で過ごすのでそのための自給用の夏野菜がメインです。

時間に追われてのGWの毎日12時間の畑しごとは言葉では言い表せないほどのものでしたが、
食欲が倍になり,夜の温泉が疲れた体に染み渡り,よだれを垂らすほどよく眠れました。
私に関して言えば間違いなく,野菜作りは健康に良いようです。

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(長野の畑。まだ寒い日があるということで夏野菜にはマルチングしました。)

▼夏野菜
トマト,ミニトマト,ナス,キュウリ,西瓜,トウモロコシ,ズッキーニ,
スティックセニョール,オクラ,コーン

▼葉物
チンゲンサイ,コマツナ,ルッコラ,ハクサイ,ミニサラダ

▼コンパニオンプランツ,ハーブ
ネギ,マリーゴールド,コリアンダー,バジル,ルバーブ,アスパラ,チコリ,
胡麻,エキナセア,フェンネル,セージ,タイム,チャイブ,ラベンダー,
スィートマジョラム,オレガノ他

▼果樹
【新植】プラム、クリ2本、プルーン、柚子
林檎、柿、ぶどう(死亡)


(植えてきた栗の1本)
植え付けた5月5日の日記はこちら
http://ta.yukiboulife.com/nikki/2011/201105.html#2011.05.05

種まき用土の土作りではまだ試行錯誤を繰り返してます。
水はけが良すぎると発芽後に枯れちゃうし,悪いと腐ってしまう。
先日はコリアンダーの苗の根を伸ばそうと水無しで攻めていたら枯らしてしまいました。
…難しいです。

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しかし自分で種から育てた苗だとは愛着が違いますね。
ステラミニトマトはやっと発芽に成功し,生長してくれてます。
なんとか収穫まで行って種代だけでも取り戻してくれたら本望です。

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何度か実践しているボカシ堆肥の仕込みも失敗を繰り返す中で慣れてきました。
どの本を読んでも「握ると固まり,突くと崩れる感じ」とありますがこいつが難しい。
確かに言葉通りなのですが,その表現だと範囲が広いです。

個人的な感覚では,足りないんじゃないか!?と不安になるくらいの水分で成功しました。
発泡スチロールの蓋を開けたときのあのなんともいえない良い匂いと,そして熱いくらいの発熱は
微生物が活発に活動してくれてる証拠です。もう嬉しくて用もないのに覗いちゃいます。
本当,何事も経験ですね。

そうそう,ゴールデンウィークに見てきた長野の古民家は健在でした。
どうも標高の高い場所は地震には強いようで,瓦1枚すら落ちてませんでした。
あの長野県北部の震度6の地震も長和町の和田辺りでは2程度だったとか。驚きですね。

これからも毎日出来る限りのことを,楽しみながらやっていきたいと思います。
自分たちのペースで,あせらず,作りすぎないように。
日々勉強。日々感謝。そらいろ農園は今日も元気です。

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(長野でゴールデンウィークにみんなでお散歩してる写真)

2011年3月15日

こんなときこそ,農家だから出来ることをやる

おひさしぶりです,あべっちです。
長野行きが延期になり,どうにもテンションが上がらない毎日でしたが…,
ご存じの通り,大地震,津波,原発危機で日本が大変なことになってます。

被害の大小はあれど,震度5弱だった千葉県でも今回の被害は意外と大きかったです。
職場の船橋にお住まいの方も,津波で地盤が液状化して家が壊滅,立て直しとのこと。
そして16人の方が亡くなったというニュースも見ました。…命は数ではないですからね。

家から歩いてすぐの場所でも,土砂崩れやコンクリート塀の倒壊が起きてます。
職場からの帰宅に毎日使っていた道なので本当に驚きました。
地震の起きた日,たまたま会社がお休みだったから良かったもののです。

(市川市某所のコンクリート塀倒壊と土砂災害の様子(3月14日撮影))

うちの自宅の具体的な被害は幸い,以下のように軽いもので済みました。
・オーブンレンジが落下して故障した
・大切にしてた茶碗やホウロウのポットが割れたりかけたり。
・半壊しているかもしれない長野の古民家のことは極力考えないようにした…
(オーブンは修理に出すお金もないので自力で修理しました!)

これを書いてる今現在も,朝昼真夜中と意地悪に続く余震に怯えながらの生活が
続いており,気持ちが休まる時間がありません。
(緊急時の荷物をまとめたり非常時の食料などを準備してくれた奥さんには感謝!)

でも…そんなうつむきがちな状態の中で,私が継続してること。
そう,それは「種まき」です。





今後は災害からくる食糧不足でいろいろなものが値上がりすると思います。
数ヶ月後には野菜の価格もグンと上がるでしょう。

そんなときに東京電力じゃありませんが,今,自分が作れるのは野菜です。
農家の端くれとして「野菜を安定供給する勤め」を果たしたいと思うのです。

「そんなことをしても自分の家族が潤うだけでしょ」と思いますでしょうか?
いえいえ,そんなこともないです。
私たち家族がなるべく自給して市販されている野菜を買わない努力をするだけでも,
被災地の家族は私たちが買うはずだった野菜を手に入れることが出来るわけですから。

幸い,種まきは2月中はなにをやってもうまくいかなかったのですが3月に入り,
適期になると嘘のようにうまくいってます。分かっていたことですが適期は大事ですね。


今朝も早朝,会社に行く前にホウレンソウの種を走ってまいてきました。
こんなときだからこそ,種をまき続けたいと思います。



(左:青梗菜の菜の花炒め  右:小松菜の炒め物)

2011年2月9日

私たちにとっての農業

ツイッターで日本の農業をなげく前に土を作れ,種をまけ,苗を育てろ!
…と少し前の自分に説教したいあべっちです。
今回は,私たちにとっての農業について書きたいと想います。
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日本の自給率を上げたいだの,食の安全を守るためだの,農業は実は儲かるからだの,
新規就農者達がそれぞれの農業を目指した理由はたくさんあると思うのだけど,
私たち夫婦のそれはちょっと違う気がする。

私たちの農業は「毎日のていねいな暮らし」の先にあるものなのだ。

私はそれまでは手作りに興味があるわけではなかった。
1人暮らしの頃からエコに興味はあったけどそれはただの節約生活でしかなかった。

でも,奥さん(ゆき坊さん)と出会ったことで全てが変わった。
それまでパソコンの中でしか自己表現出来なかった私から見ると,
楽しみながら何でも手づくりする生活が新鮮で,そんな奥さんに影響されまくった。

奥さんもまた,「月の食費は2人で2万円」というとんでも無いハードルを作った
私との新生活が始まってからは今までにないスピードで急成長していった。

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手作り石けんやシャンプー,リンス,化粧品,虫除けスプレーにお掃除グッズ,
お弁当を含めた3度の食事はもちろん,丸パンやカンパーニュなどのパン類,
そして焼き菓子やゼリーなどのお菓子も焼くわ揚げるわこねるわ泡立てるわで。

なにせこの金額でやりくりするには外食はもちろん,スーパーでうどんなどを
買う余裕も無い。どうすればいいのか。答えは簡単,それはひたすら手作りだ。

小麦粉や強力粉などをまとめ買い(25kg)して単価を下げ,その粉を使って
パンにお好み焼きにうどん,餃子にピザにホットケーキなどなどを作るのだ。
スーパーで買うよりも安いし,量も食べられるし,なにより美味しいし。

小麦粉だって大量購入すれば単価が下げれる上に,北海道産の上質なものも
選んで買えるようになる。美味しい粉があるからまた料理をしようという気にもなる。
食パン,うどん,餃子はもう買わないで作るなどと掟を増やすとまたやる気が出てくる。
食べたくなったら買う,ではなく,食べたくなったら作るのだ。

そんな手作り生活の中で,
生ゴミはミミズコンポストに投げ込んで土に戻したいと話し,
味噌を仕込んでいる最中にはこの大豆もいつか作ろうと作り方を調べたり,
果物のジャムを作りながら無農薬だったら皮まで使えるのにねと残念がったり,
焼き菓子を焼く度に鶏も飼って卵を作りたいねと夢を語ったりと,妄想をふくらませた。

とまぁ,私たちの農業&田舎暮らしへのきっかけはそんな動機なのだ。
これまで以上に手作りいっぱいの生活をするためであり,食事を楽しむためなのだ。

だから例え農業などで野菜が売れてきて忙しくなったとしても,ご飯がカップ麺だの,
コンビニ弁当だののそんな生活にはならない。そんな毎日を望んではいない。
食を司る農家だからこそ,毎日の食事が,生活が,豊かであるべきだと思う。

これからも一生,美味しいものを楽しく手づくりしていきたい。
そこに自給率上昇や安全なども自然とついてくるはずだから。

2011年2月2日

ビニール苗床の苗ポットに種をまきました

いやー,寒いですね。あべっち@千葉県です。
この寒さ。ここは本当に温暖なイメージで有名な千葉県なのっ!?と疑いたくなります。
思えば,新潟から引っ越してきた当初は雪が降るのは数年に一度だったのに,
ここ数年は雪が降らない年もなくなってますしね。なにかおかしくなってきてますね。
ちなみに,千葉県は田舎暮らしを求めて移住してくる人の数が全国1位らしいです。

さてさて,今日は育苗スペースの育苗ポットに種まきをしました,というお話。
これまでは夏野菜は苗を買って植えていたのだけど,自家採種を始めてみたり,
固定種を購入したりし始めたので,苗もできるだけ自分で作る方向へ進もうかと。

あと,市販の苗にも何も書いてなければ基本的に農薬は使われてるらしい。
そんなものを買って途中から無農薬で作ってもなぁという思いもちらほらあった。

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(今回,頑張って設置した苗床スペース!)

そもそもどうして直接畑に種をまかず,育苗スペースで育てるのかをあげてみると…。

■育苗スペースのメリット4つ
1.害獣被害の予防になる。(豆類などは鳥に食べられてしまうので)
2.発芽の手助け。(まだ露地は温度が低くて発芽が難しい時期などに)
3.土地の有効利用(まだ収穫出来る野菜の残ってる畑を使わずに済む)
4.本番前に試せる(元気の良い苗などを畑に選んで移植が可能)

などなど育てる側にとって育苗スペースのメリットは山ほどあるのである。

育苗は去年もやってみてるのだけど,どうもうまく成長しなかった。
考えられる原因を2つ書いておこう。

そらいろ農園の苗床
去年の苗床の考えられる原因2つ
1.1枚の苗床にしてしまった
狭いポットを使うより,枚の広い苗床を使ったほうがびのび成長出来て良いと思ったのだけど
やってみるとお互いの根が絡まりまくってうまく移植出来なかった。

2.培養土の肥料不足
培養土に砂のような畑の土を使用したり,同じ土を連続して使用したりしていたので,
栄養分が足りなかった。これにより発芽はしたものの,あまり生長してくれなかった。
苗床とはいえ,ある程度の栄養分は必要だったのだ。


今回は昨年の経験をちゃんと踏まえて苗ポットに1つ1つ植えることにし,
培養土はちゃんとホームセンターで買ってきた。(いつかこの土も自作したい…)

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80個の苗ポットを並べるとコレまでにない壮大なスケールであることが分かる。
「あちゃ~困ったなもう食べきれないよ」なんて夏に言いたいものだ。

ちなみに苗ポットは大多喜のハーブガーデンに行ったときに無料で貰え,
ポットを並べる黒いケースも長野のホームセンターでは無料で貰えた。
こういうのって運もあるけど,いつもアンテナを立ててることが大事ね。

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ポットの底には排水性を良くするのと土こぼれ防止のために網を置く必要がある。
この網は去年の夏に南瓜にかぶせた網をハサミでカットして使用した。
捨てずに取っておいて良かった。こんなのでも買えば300円位はするから。

網を敷いたら培養土を入れていく。この時,細い移植ごてがあると作業が早い。

土を持ったらあとは楽しい種まきタイム。

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蒔く前に種を水につけて,沈んだ種だけを使用するようにすると発芽率が良い。

それをビニール苗床にセットしたものの,千葉も寒いので夜は氷点下にもなる。
そこで室内に移動させたのだけどそれでも温度は早朝7度,朝21度,昼間25度くらい。
太陽光が窓ガラスを経由してるので最高温度はあまり上がらないようだけど,それでも
夜中に氷点下にならないだけでも室内に置く価値はあると思われる。

種の発芽は大抵のものは20度~30度なのでまだ先は長いかな?
まぁ乾燥だけに注意して気長に待つとします。

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今回はあくまで1月29日分として。またしばらくしたら2週間後にまた蒔く予定だ。
一週間経っても出ないようなら電気カーペットでも買いに行くかもしれない。


とにかくこの頃は朝起きたらまず発芽してないかをドキドキしながら見に行く毎日。
「頑張れよ-」なんて声が出たりもしてる。(アンパンマンのオクラちゃんかよ)
そらいろ農園では人も植物も,太陽が当たるその贅沢な時間をじっと待っている。

2011年1月25日

初めての落ち葉堆肥は積み直し後に高温状態に!

縁側から見える夏の畑の様子
縁側から見える夏の畑の様子。長野の畑もこういう感じにしたいです。
うきうき気分のあべっちです。

先ほど,薄暗い中,畑の隅で作ってる落ち葉堆肥の温度を測りに行ったのですが…,
(ただ今,奥さんが早朝のバイトをしてる関係で朝に農作業が出来ない状態なので,
会社からの帰宅後や日曜日にせっせと作業しております)

なんと,その温度が48度まで上がっていたのです!パンパカパーン!
嬉しさのあまり夫婦げんかしたばかりの奥さんに家まで走って帰って報告したほど。

この落ち葉堆肥は先週の日曜日の1月16日に仕込んだものなのだけど,実は2日後の18日に
計ってみた温度はなんと8度。偉そうにブログで落ち葉堆肥を仕込みましたとお伝えしたものの,
そう,まさかの「気温よりも低温の状態」だったわけで。うぐぐ。

書籍やネットから調べあげた多すぎるほどの情報から読み抜いた結論としては,
「仕込んでから2日で50度近くになる。そうならなければ失敗。」としているので
つまりこれは大失敗なわけです。とほほ。

温度が上がらなかった原因は何だろう?
これまでの人生で20回も使ってない新鮮な脳みそがフル回転した。
寝ても覚めても仕事をしてても堆肥,温度,発酵,水分etcのことばかり。

まず1番に考えられるのが水分不足。
ぼかし肥のときの経験から水を少なめにしたのだけど,もう少し多めなのかも知れない。
そういえば踏んだときに「ぐちゃ…ぐちゃ…」と音が鳴ると書いてあったのも思いだした。
加えて今年に入ってから全く雨が降ってなかったので同じ落ち葉でも水分含有率が
低かったことも考えられる。

お隣の畑の師匠に聞いてみるとまずは絶対量が足りないとのこと。
確かに。ゴミ袋に10袋くらい落ち葉をかき集めた割には,水をまいて踏み踏みした後には
かなりしぼんで25cmくらいにしかならなかった。
あと師匠は純粋な落ち葉だけではなく,土に密着してる部分があると良いとも言ってた。

それらのアドバイスを考えてまた山と家とを往復して落ち葉をかき集めた。
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今回の落ち葉は師匠から聞いた通り,土に密着してる部分を多めに。素直がイチバンだ。

そして1月22日に積み直し作業をした。
9月に出て来たカボチャの残渣の堆肥を混ぜてボリュームアップ。
水分を多めに追加して,米ぬかも追加で合計15kgは投入しただろうか。

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(積み直した落ち葉堆肥)

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待ちきれずに積み直した翌日に温度を測ってみると…20度まで上昇!
そして積み直して3日目の今日,48度まで上がったいう流れだったのだ。

市販の堆肥は家畜の糞や堆肥は抗生物質を飲ませている家畜からでた糞尿を使ったり,
十分に発酵させてないのに,乾燥だけさせて完熟として販売してるものばかりとあった。

そらいろ農園では堆肥も出来るだけ自作していきたい。
これも畑の規模が小さいからこそ出来る贅沢だと思う。

まだまだまだまだ,いろんな難関はあると思うけど,今回の自家製腐葉土のチャレンジと
それに1度失敗してから立て直せたことは素晴らしい経験だったと思う。
あぁ,夏よ,早く来いっ!(←もう落ち葉堆肥が完成したと思ってるアホ)

去年採れた夏野菜夏に収穫した夏野菜で作ったピザ
(去年採れた夏野菜とその野菜を使ったお手製ピザ。夏が待ち遠しい!!)

2011年1月20日

長野行き,延期!!!!!!!!!!

…年明けからいろいろあって精神的なアップダウンが激しいあべっちです。
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(2011/01/19日の3食。元気づけてくれるのはいつでも毎日の食事です)

この2週間,毎日息子と格闘しながら妻と話し合い,決断したことがあります。
それは2011年4月(あと3ヶ月)で引っ越す予定だった長野行きの延期です。

年賀状には新住所も掲載し,「4月からいよいよ新生活のスタートです!」なんて大きく
書いてしまい。職場では1年以上前に恩のある上司にその旨を伝え,引き留めて貰ったりも
したのに「それでも行きます!」なんて言っておきながら…。

ゆき坊さんも友人達や教室の生徒さんたちや教習所の皆さんに伝え,
これが千葉県での最後のレッスンですなんて言っておきながら…。

恥ずかしくて情けなくて大きな穴があったら入りたい(もしくは堆肥を作りたい)気持ちで一杯です。
33年間生きてきてこれほどみじめな想いはしたことがないかもしれません。

決断までの経緯は以下「2011年4月の長野行きを延期した経緯…」をご覧下さい。
明るく楽しいそらいろ農園のブログにこんなことを書きたくはないのですが,
4月からの長野行きを応援して下さった方々や心配して下さっている方々のために,
以下に記しておきます。(そのうち消すかも知れません)

幸い,先日,職場の校長室で校長と教頭に話を聞いて貰うことができ,
「もしまだ可能であればもう1年,私を雇用して頂けないでしょうか!?」と
悲痛の表情で伝えることが出来ました。…はぁ。。

まだ先の見えない私たちの「手作りいっぱいの自給時的な古民家暮らし」ですが,
最後には誰もうらむこともなく,みんなが笑顔になれる結末がやってくると信じてます。
とにかく今は1日1日を大切にしながらやれることをしっかりやりたいと想います。

最後まで読んで頂き,ありがとうございました。



「2011年4月の長野行きを延期した経緯…」
嫁さんがブログで告白している通り,予想外の出費(愛犬入院,息子食べ過ぎ,不動産取得税,
車が買えずETC買えず…etc)でお金が足りず,それが4月の田舎暮らしを断念した理由です。

しかし。
それでも年始めに発覚したあの不動産トラブルが発覚するまでは引っ越す予定でした。

それだからこそ,4月から新生活をするために,畑の堆肥と薪を作る必要があるということで,
危険を承知で,子守を買って出てくれた母を引き連れてノーマルタイヤで長野に向かったのです。

薪は切ってから使えるようになるまで時間がかかりますし,冬に切っておけば乾燥も早くなります。
長野の寒冷地で過ごすために必要な薪を買いそろえるとなると数十万円かかると聞いていたし,
うちは隙間だらけの築100年の古民家ということもあり,薪の最低限の確保は必須字項でした。

それと広葉樹のある元果樹園の土から作る腐葉土作りも目的の1つでした。
落ち葉から作ると1年かかる落ち葉堆肥も,もう出来ているものなら数ヶ月で済みます。
これを4月からの苗の植え付けに使おうと計画してました。

今回の長野行きに合わせてチェンソーをオノを新規に購入し,
親切な森林協会の方とアポをとり,うちの土地の木を伐採するときに作業を見せて貰いたいと約束を
しておきました。それはプロの方の作業を見て,薪作りのヒントを得るためでした。

しかし,森林協会の人と見に行った土地は歩いていけないどころか,針葉樹で,
行くのに4WD車が必要で,完全な杉林で,更に急斜面の土地でした。
唖然としました。

仲介者のI氏を呼んで話をしたところ,夏に案内した場所と違ったことは認めたものの,
「自分は不動産ではない。仲介しただけで,自分に責任はない」と言い切りました。

物件のキャンセルになるかもしれないこの事態に,作業をする気にもならず(他人の土地だし),
翌日には帰ることにしました。…この1年必死に頑張ってきたことは何だったんだろう。
私たちはとても愉快な家族なのに,帰りの車の中は長野の家のことは誰も口にしませんでした。

結局,4月からの生活のために薪と腐葉土を作るために行った今回の長野行きは無駄になり,
薪も腐葉土も作ることが出来ませんでした。

そして今(2011/01/20)現在も交渉中でまだ土地がどうなるか分かってません。
相手次第ではこのままだと物件のキャンセルも可能性として残ってます。
(そうでも言っておかないとはした金で解決されそうなので…)

こんな状態ではとても安心して飛び込むことは出来ません。
そんな理由で4月の長野行きは延期することに決めました。


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ここ5日で奥さんが作ってくれたお菓子。家族でモリモリ食べてます。